レッドセルの共同創業者でCEOのグラント・フェルスタンディグ(Grant Verstandig)は、外部のスタートアップを探して資金を提供するよりも、スタートアップのアイデアをサポートして育てたいと考えている。「私たちは世界を変えようとする会社の価値を高めていく」と彼は述べている。
レッドセルは昨年12月に「RCIF I」と呼ばれるファンドで9120万ドル(約135億円)を調達し、累計調達額が2億ドル(約296億円)に達したと発表した。この新たな資金は、同社がインキュベーション中の企業への最大500万ドルのプレシード投資と、その後のラウンドでのフォローオン投資に向けられる。レッドセルは、人工知能(AI)関連の機会を視野に入れつつ、ヘルスケアと防衛関連という2つの主要分野に重点的な投資を行っており、投資先の企業が2年以内にステルス状態から脱却し、収益を上げ始めることを望んでいる。
現在34歳のフェルスタンディグは、2010年にRally Health(ラリーヘルス)という企業を設立し、2014年にユナイテッドヘルスに売却した。それ以降に、彼はAIベンチャーのZephyr AI(ゼファーAI)を含むいくつかのヘルスケア企業を共同創業しており、今後もヘルスケア領域に注力したいと考えている。
軍事テクノロジーに関しては、レッドセルのパートナーのひとりであるマーク・エスパー元国防長官(59)は、国防総省(ペンタゴン)と軍需製品メーカーのレイセオンで長年経験を積んできた。彼によれば、防衛関連のスタートアップには大きなイノベーションの機会があるという。エスパーは、レッドセルでの仕事を通じ、「既成概念にとらわれないまったく新しいアイデアを生み出す企業」を育てていきたいと述べている。
レッドセルが防衛分野でインキュベートした企業のひとつに、機械学習アルゴリズムを使って軍事作戦のロジスティクスを最適化するDefcon AI(デフコンAI)がある。同社は最近、AIモデルの開発を進めるために米空軍との新たな契約を獲得した。
レッドセルの投資は、連邦準備制度理事会(FRB)元副議長のロジャー・ファーガソンが監督している。ファーガソンは、保険会社Swiss Re(スイス・リー)など大手金融機関のベテランでもあり、現在はアルファベットの取締役も務めている。ベンチャーキャピタルでの仕事は72歳の彼にとって初めてのチャレンジではあるが、「今のところ、このミッションを楽しんでいる」とフォーブスに語った。
フェルスタンディグもまた、この分野のさまざまな課題を認識している。「ヘルスケアと国家安全保障という2つの分野では、イノベーションを起こさなければ、重大な結果に直面することになる」と、彼は語った。
(forbes.com 原文)