リーダーシップ

2024.01.27 13:30

「ジャングルと未来の歩き方は似ています」未来会議の緊急提言!人を導く「問いの力」

Forbes JAPAN編集部

『Forbes JAPAN』2024年3月号は、「『新しいリーダー』を語ろう」特集。『Forbes JAPAN』は2014年6月の再創刊から今年で10周年を迎える。その第一弾企画として、これからドラスティックな転換期を迎える世界経済、日本経済について、ポジティブに変革・創造していくために「リーダーシップ」をテーマに選んだ。これからの時代をけん引する「新しいリーダー」はどう変わるのか。「リーダーシップのあり方」はどう変化するのか。「新しいリーダーシップの教科書」を目指して、リーダーたち100人に問うた答えから私たちに必要な生き方が見えてくる。 

霊長類研究の第一人者、僧侶、大企業の元CFO、教育やロボットなどが専門の研究者。バラエティ豊かな各界のリーダーたちに本誌Web編集長の谷本有香が「新しい時代の問い」を聞いた。


谷本有香(以下、谷本変化が激しい時代にリーダーに必要な要件とは何なのか。従来のようにひとつの解を求めるのではなく、「問い」を考えることから、この時代特有のリーダーのあり方が浮き彫りになるのではないか。総合地球環境学研究所の山極壽一所長、法然院の梶田真章貫主、日戸興史元オムロンCFO、京都大学総合博物館の塩瀬隆之准教授の4人をお招きし、新しい時代にどんな問いが想起できるのかをお伺いしたい。まず、『問いのデザイン』という著書も出されている塩瀬先生から、なぜ今、解ではなく問いを立てることが重要なのか、教えてください。

塩瀬隆之(以下、塩瀬もともと私は人間とコミュニケーションをするロボットの研究をしていました。ロボットに正確にしゃべらせるのは意外と簡単ですが、聞き上手をつくるのはすごく難しいんです。相手の話をしっかり聞いて、適切なタイミングでうなずき、さらに相手に関心をもって問いかけることができない。では、人間はどうやって相手に「問うている」のか。そこに興味をもつようになり20年ほど研究してきた一つの節目が『問いのデザイン』という本でした。

誰もが問いをデザインしていくことが大事だと伝えたかったのですが、簡単にできるという意味ではありません。今まで多くの人は、ただ人から与えられた問いに反射的に答えようとするばかりで、自ら問い直すという機会をもてずにいました。しかし、コロナ禍で生じた断絶が時間を生み、与えられた目の前の問いが本質的な問いかどうかを疑う機会ができた。誰かから与えられなくても、自らの内に問いが存在する事実に気づき始めた。でも、まだその問いが本当に根源的かどうか、自信がもてないのかもしれません。

谷本:まず、問いを考える前提として、山極先生、これからの時代をどのように定義されているのでしょうか。
塩瀬隆之◎京都大学総合博物館准教授。京都大学工学部精密工学科卒業、機械学習による熟練技能伝承システムの研究で博士(工学)。経済産業省産業技術環境局課長補佐(技術戦略)を経て2014年より現職。著書に『問いのデザイン』(学芸出版社、2020年)など。

塩瀬隆之◎京都大学総合博物館准教授。京都大学工学部精密工学科卒業、機械学習による熟練技能伝承システムの研究で博士(工学)。経済産業省産業技術環境局課長補佐(技術戦略)を経て2014年より現職。著書に『問いのデザイン』(学芸出版社、2020年)など。

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文=成相通子 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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