2つ目の過ちは、次々と起こる経済問題にせいぜい生ぬるい対応しかしなかったことだ。2021年に最初の経営破綻が発生したときからほんの数カ月前まで、中国政府は現実に反して、当局が金融市場を支援する必要はないようなふりをしていた。支援を欠いていたため、不動産部門と家計資産の問題は金融システム全体に広がり、経済にさらなる打撃を与え、信頼感を低下させた。
3つ目はゼロコロナ政策だ。これにより、中国経済は他の国よりも少なくとも1年半以上長くロックダウンと隔離の下に置かれた。習近平の目標は新型コロナウイルスの根絶という不可能なものだった。その目標を追求することで習近平は中国経済を抑制し、もはや定期的な収入を当てにできないとの思いを人々に、事業拡大にはほとんど意味がないという感覚を企業に植え付けた。それにも増して、習近平はこの間、中国の民間企業を非難し、経営者やオーナーは利益を追求するのではなく共産党の計画に従えと主張した。何よりも、このような主張が中国の事業主らに将来への不安を抱かせ、雇用や事業拡大に投資することを躊躇させた。
1930年代に米国が経験した大恐慌の根本的な原因とこうした類似点があるものの、中国に大恐慌が起こると予測するのは大胆すぎるだろう。だが、今後しばらくの間、中国経済を停滞させる状況が続くという予想は大胆すぎるものではない。習近平とその取り巻きらが、中国の人々と企業が信頼感を取り戻せるような政策転換の必要性に目覚めなければ、特にそうだ。そのような政策転換は絶望的かもしれないが、いずれにせよ必要とされている。
(forbes.com 原文)