CBTは、自身の行動やそれに対する考え方を記録するなどして客観視し、認知の歪みを正していくことで不安症状やうつ症状などを取り除く治療法だ。しかし、長期にわたりカウンセラーと取り組む必要があり、効果を実感しづらい。自費診療になることもあり、続けられない人も少なくない。
千葉大学子どものこころの発達教育研究センターが発見したのは、fMRI(磁気共鳴機能画像法)で脳の視床と前頭極の活動が、CBTの前後が変動するということだ。同センターは、社交不安症患者20人に12週間にわたりCBTを行ってもらい、治療の前後にfMRIで脳を撮影した。同時に、社交不安障害の尺度となるリーボヴィッツ社交不安尺度(LSAS)による評価も行い、それで示された改善量と脳の活動とを比較したところ、脳の両側の視床の静時脳機能画像信号のパターンと関連があることがわかった。
このことから、治療前にfMRIを撮影することで、CBTの治療効果を予測するバイオマーカーが得られる可能性があるということだ。LSASは、さまざまな状況に置かれた自分を想像して24の質問に答えるアンケート式の評価方法で、それなりの客観的な度合いがわかるが、あくまで自己申告式。今回の研究結果が示した、脳活動の数値による評価は、患者にとって明確な指標になる。CBTにも身が入るというものだ。
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