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2024.01.28 15:00

病院にAIなど新技術導入 米大手VC、オハイオの医療機関買収へ

Shutterstock.com

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米大手ベンチャーキャピタル(VC)のゼネラル・カタリストは3カ月前に、VC業界では珍しい取り組みを発表した。それは、新たな会社を設立し、新しい技術の実験場となる数十億ドル規模の医療機関を買収するというものだ。

そうして設立された新会社HATCo(Healthcare Assurance Transformation Corporation)は1月17日、オハイオ州アクロンのSumma Health(スマ・ヘルス)を買収する意向を発表した。スマ・ヘルスは、3つの病院を運営する非営利の医療機関で、医療保険も提供している。

両者は、法的拘束力のない基本合意書に署名。買収が成立した場合、スマ・ヘルスは営利企業に転換しなければならない。スマ・ヘルスのクリフ・デブニー社長兼最高経営責任者(CEO)はフォーブスに対し、「スマ・ヘルスには、多くの問題を解決できる優秀な人々がいるが、そうした人々に必要なのは、HATCoから得られる『ミラクル成長剤』だ。HATCoには、この組織をより早く発展させるための資金とテクノロジーがある」と語った。

HATCoの共同創業者でCEOのマーク・ハリソンは以前、フォーブスに対し「しっかしとした核」と「改善の余地」がある医療機関を探していると語っていた。スマ・ヘルスが優れている点は、成長性のある医療保険を運営していることだという。

監査済みの財務諸表によると、スマ・ヘルスは2022年に売上高18億ドルに対して約3900万ドルの営業損失を計上していた。HATCoは買収の条件を開示していないが、スマ・ヘルスのデブニーは「多額の資本と技術力が提供される」と述べている。

スマ・ヘルスの経営陣は、赤字の原因としてインフレ率の上昇や新型コロナ対策の支援金の終了に加え、人件費の増加を挙げている。デブニーは、2024年の売上高が約20億ドルに達すると予想している。

従来の米国の医療制度では、患者に提供するサービスごとに病院や医師に対して報酬が支払われていたが、現在は徐々に「バリュー・ベースド・ケア」に移行しつつある。これは、医療提供者がまとまった金額を受け取り、一定期間にわたって患者の全般的な健康状態を管理するというモデルだ。

患者が年1回の健康診断以外に治療を必要としなかった場合、医療提供者は未使用の資金をそのまま受け取ることができる。しかし、患者が何度も救急治療を利用した場合、医療提供者は超過分の費用を負担しなければならない。

バリュー・ベースド・ケアのもとでは、収益に影響する場合に保険会社と医療提供者の双方が患者の健康維持に努めることになる。スマ・ヘルスの医療保険に加入している6万人はバリュー・ベースド・ケアを受けており、HATCoとスマ・ヘルスはそれをさらに推進しようとしている。

「多くの医療は、それが正しいからではなく、報酬を目的に提供されいる。われわれは、患者にとって正しいことをするモデルに移行したいと考えている」とデブニーは語る。

スマ・ヘルスの医療保険は、米国の高齢者向け公的医療保険「メディケア」に加入している65歳以上向けの保険と、大企業や個人を対象にしたコマーシャルプランを提供。最も急成長しているセグメントの1つは中小企業だ。デブニーによると、中小企業はコストの上昇に苦慮しており、他の複数の企業とリスクをプールすることで負担の軽減を図れるという。
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編集=上田裕資

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