経営・戦略

2024.01.26 09:15

「売れる営業」は何が違う? CRMの本当の使い方【マッキンゼー営業改革の教室】

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その代表例がIBMです。IBMのSignature Selling Method(SSM)は、システムインテグレーション(SI)を顧客に導入する複雑なプロセスをシンプルながら痒い所に手が届く7ステップで定義しており、今やMBAの教科書にも出てくるほど有名です。
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SIのようなソリューションでは、顧客側の意思決定者もCTO、ユーザ部門、経営企画など多数あり、ニーズもその分複雑化しています。なので、まずは顧客を取り巻く事業環境を理解し、顧客に必要な事業戦略は何か、その場合ITに求められるものは何か、を理解しなければ、社内から上がってくる様々なニーズに振り回されてしまいます。

SSMでは、顧客のビジネス環境やIT環境を理解し顧客との良好な関係を築くことを第1ステップ、そこから顧客のあるべき戦略と重要課題を理解し、自社のシステムを活用できる場所を特定することを第2ステップとしています。

図1: Signature Selling Method


では具体的にはどのように活用するか。まずは、CRM/SFA導入時・改修時に、定義した営業プロセスをステップとして埋め込むことが必要です。
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多くのCRMでゲート管理の仕組みがありますので、これを活用します。各案件が、営業プロセスのどの段階にあるのかの更新を行うことで、どの程度の数・金額の案件が、どの段階にあるのかがすべて見える化されるので、事業の意思決定に大きく役に立ちます。

また各営業パーソンも営業プロセスを意識して活動できるため、複雑な営業プロセスにおいてもやるべきことが明確にわかるようになります。

グローバルの成功企業は、このような形で営業プロセスを各社の状況に定めて標準化し、プロセス定着のためにCRM/SFAを活用しています。

【応用編】「実行レベル」という概念

応用編2例目です。マッキンゼーでは、クライアント企業の新規顧客や新規案件開拓のお手伝いをすることがよくありますが、ここでは案件開拓にフォーカスした営業プロセスを導入し、CRMで管理できるようにします。
次ページ > 「実行レベル」を5段階で見える化

文=倉本由香利

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