経営・戦略

2024.01.26 09:15

「売れる営業」は何が違う? CRMの本当の使い方【マッキンゼー営業改革の教室】

そのCRM、本当に使われてます?

CRM/SFAはとても便利なツールですが、導入にはそれなりにコストがかかります。しかし、実は使いこなせていないという企業も多いのではないでしょうか? 

私自身、今まで数十社の日本企業の営業改革を支援してきましたが、十分な活用ができていない企業をよく拝見します。

例えば、CRMを導入したものの、既存システムに合わず、結局使っていないという企業。ほかにも、完全なるWin List(受注表)つまり「顧客から受注して初めて情報を入れる受注システム」と化しているケースも頻繁に見かけます。CRMに受注情報を入れないと請求書が発行できないとか、製品やサービスの提供ができないなどの理由で、営業が情報を入れている“だけ”になっているのです。

これでは本来の機能を発揮できているとは言えません。では、どうしたらより効果的にCRM/SFAを使うことができるでしょうか。今回は一般的なCRM/SFAで活用できる4つのベストプラクティス、基礎編と応用編をご紹介します。

【基礎編】マネジメントがCRMを毎日見る

CRM/SFAには、受注後だけでなく受注前の営業活動も入力し、可視化することで、顧客満足度を上げ、受注前の営業活動を効率化するべし、と書きましたが、多くの方が「言うは易し」と思うでしょう。

営業パーソンがCRMにこまめに入力するように組織を変えていくのはかなりの労力が要ります。マネジメントが入力を促進しても、日々の営業活動が忙しく、なかなか入力できないことが多いのです。

モバイルやタブレットで入力可能にするなど、入力しやすいツールを導入しても、頓挫することも多くあります。一体どうすれば良いでしょうか?

一番の鍵は、マネジメント自身がCRMを毎日使いこなすことです。そしてCRMの情報を見て、各営業は何がうまく行っていて、どこで煮詰まっているかを理解し、必要なコーチングやトレーニングを与えたり、投資の意思決定を行ったりする。受注前の情報を入れさせたいなら、受注するために必要なアドバイスや投資をCRM情報を元に行うのです。

営業パーソンは、情報を入力することで、マネジメントから有用なアドバイスや手助け、リソース投入を受けることができると分かれば、私の経験上、2カ月もしないうちに必要な情報の8割は入力されるようになります。ご自身がCRMを使いもしないのに、情報を入れろというのはどだい無理な話なのです。

実際、良く作られたCRMがあるのに使われていない組織を支援する際には、マネジメントの皆さんがCRMを毎日使っているかをチェックします。そして営業会議やコーチングの場では、CRMの情報をわざと引用して質問したり、アドバイスしたりする。時には投資決定の条件にもしてもらいます。

次ページ > もう一つの鍵は?

文=倉本由香利

ForbesBrandVoice

人気記事