2024.02.10 10:30

ロンドン出張なら迷わず選びたい「ザ・ドーチェスター」&「45パークレーン」

「45パークレーン」が体現する至高のホスピタリティ

「ザ・ドーチェスター」がモダン・クラシックならば、歩いて30秒ほどの隣にある姉妹ホテルの「45パークレーン」は、完全にスタイリッシュな趣を持つ。パブリックスペースや客室は茶系で統一されていて、大人の落ち着きと趣味の良さを感じさせる。

茶系でスタイリッシュにデザインされたゲストルーム(4553号室)。

最大の特徴は、客室はもちろん各所に配されたコンテンポラリーアートだろう。「45」とは45の客室の意味なのだが(実際は46室)、規模から言って、スモール・ラグジュアリーと呼ぶに相応しい。デザインはニューヨークをベースに活躍するデザイナー、ティエリー・デスポントの手によるものだ。

小規模ホテルとは言え、そこに詰まった内容は侮れない。まず、夜ごとにきらびやかな男女が集う「バー45」では、カクテルをお奨めしたい。店が力を入れているのは5種類の「ネグロニ」だ。ちょっとアニスを思わせる配合でユニークだ。シェイクしてから、ゲストの目の前で柑橘系のスプレーを振りかけてフィニッシュしてくれる。

「バー45」にてカクテル「ネグロニ」をサーブ中。バーテンダーのノリがいい。

グリルがメインの「CUT (カット)」はオーストリア人シェフのウォルフガング・パック氏が指揮をとるステーキハウスで、ヨーロッパ初上陸の店である。各種ステーキはもちろんのこと、ロブスターや新鮮な魚のグリルがあり、サラダ類もとても美味しい。お奨めはUSDのフィレとプライムリブの熟成肉で、正直に言って、日本で食べる同店よりも美味しかった。

グリル「カット」、米国産の熟成肉はとても美味しい。

そしてもう一軒、東京のミシュラン2つ星「鮨かねさか」の支店が2023年7月にお目見えした。アジア太平洋地域外では初めての出店となる。檜の一枚板や細部までこだわった完全なる和空間の中で、お任せスタイルの江戸前寿司が堪能できる。カウンター9席、個室4席、たった13席のプラチナシートは連日の盛況である。

ザ・ドーチェスターと同様のスパトリートメントも、「ザ・スパ at 45 パークレーン」で受けることが可能だ。スイミング・プールは、ローマ風タイルが壁面を飾るこの上なく美しい。もちろんサウナも完備していて、隣り合う広大なジムは、各種マシーンを取り揃えている。

最後に言及しておくべきは、ホスピタリティである。ドアマンやレセプションにはじまり、とりわけバーやレストランにおけるホテリエたちの接客は、「ザ・ドーチェスター」と同様にフレンドリーで心地が良い。ここで働くすべての人々が、ゲストをもてなす意識を徹底して維持している。

アジアの超一流ホテルが持つホスピタリティ──、それをヨーロッパで経験することは本当に稀有なことだ。ある種、奇跡のようなホテルである。

45 PARK LANE |客室数46室 デラックスルーム 1,100ユーロ~

文=石橋俊澄(コントリビューティング・エディター)

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事