フカヒレ漁規制、サメ保護の取り組みに逆効果も

遠藤宗生
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このデータを解釈するため、研究チームは20人余りの専門家に聞き取り調査を行い、一貫した回答を得た。それは、フィニングが禁止されたことで、漁業者がサメを丸ごと水揚げせざるを得なくなったというものだ。この変化は、それまでサメを消費していなかった国々で、サメ肉や肝油、軟骨など、さまざまなサメ商品を扱う新たな市場を生んだ。つまり、規制が意図せず新市場を創出してしまった可能性がある。

研究に参加したダルハウジー大学のサメ研究者ニディ・ディコスタは、これまでのサメ保護活動には地域レベルの取り組みが欠けていたと強調。特に、小規模な職人漁業がサメの主な死因となっている国々では、そうした努力が重要だと訴えた。

サメの死亡率は世界的に見て均一ではない。一部の沿岸地域には、漁業規制が不十分なために死ぬサメの個体数が驚くほど増えているホットスポットがある。インドネシア、ブラジル、モーリタニア、メキシコなど、熱帯地域の国々でとりわけ死亡率が増加しやすい傾向がある。

一方で、今回の研究では、カツオ・マグロ類の地域漁業管理機関が規制する外洋漁業における保持禁止と厳格な管理措置が、サメ漁業全体の死亡率を減少させる上で有望だと指摘している。実際、公海上の遠洋漁業では、これまでの規制措置によりサメの死亡率が約7%減少し、特に大西洋と西太平洋では希望の光が見えつつある。

今回の研究結果には課題と機会が混在しているが、そのいずれもがサメ保護における多角的なアプローチの必要性を強調している。ガバナンスが強固な国では漁業によるサメの死亡率は相対的に低く、トップダウン管理に効果がある可能性が示された。研究チームは、こうした課題に直面している国への支援を強化し、手遅れになる前にサメを保護する革新的な解決策を開発するよう求めている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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