音楽

2024.01.25 13:00

独占!XG総括プロデューサーが語った「世界で輝く」ために大切にしていること

Forbes JAPAN編集部
──世界を目指すにあたり、カルチャーについてはどう教育していますか。

SIMON:世界の流れや基礎的な歴史は教えたりします。僕が育ってきた環境から得た経験もシェアしますし、カルチャーや音楽に関してたくさん話をしています。カルチャーはまさに同時代を生きる人々が共感しながらつくっていくものなので、教育というよりは一緒にコミュニケーションしながら知っていくものだと思います。

僕たちは、ボーダーレスで世界中の多様な生活を送っている多くの人々に、音楽とパフォーマンスをお届けしたいというより明確な目標があります。そのため例えば、(ラップ・パフォーマンスに特化した)「XG TAPE」、(ボーカルに特化した)「XG VOX」のような、過去の名曲を再解釈しながら時間と空間を行き来する試みを行ってきました。さらに、聴覚障がい者の方々が振動を通じて音楽を楽しむことを知り、ベース音の強い「GRL GVNG」のパフォーマンスには手話を取り入れるなど、さまざまな取り組みをしています。
ライブ冒頭、観客たちを魅了した「GRL GVNG」

ライブ冒頭、観客たちを魅了した「GRL GVNG」

──MVや映像、衣装といったクリエイティブにもメンバーからのインプットが多いのでしょうか。

SIMON:もちろんです。メンバーには、ファッションへの思いやセンスをプレゼンテーションしてもらっています。クラウド上にシェアフォルダーをつくり、アイデアやレファレンスを共有してもらい、全員が見られるようにもしています。ビジュアルコンセプトの提案時には、彼女たちの意見も挙げています。

──育成期間も長く、一人ひとりの意見をそれだけ大事にしている。そのことがXGを新しく感じる要素であり、メンバーがもっている信念はリスナーにも伝わっていると思います。

SIMON:ありがとうございます。ビジュアルだけではなく、例えば、音楽や振り付け、メンバーの曲への思いやスタンスといったディテールにすごく時間を費やしています。これまでの努力と投資が実を結び、必ず結果を出して、より良い作品をつくっていくことが、これからのテーマですね。

50年後、歴史に残るアーティストにする

──女性をエンパワーするメッセージを、男性プロデューサーが書いていることに多くの人が新鮮さを感じると思います。XGのモットーを、なぜそのように設定したのでしょうか。

SIMON:17年の人材発掘の段階では、まず世界で唯一無二のグループを作ることを考えていました。そのため、性別をわけて考えていませんでした。僕が選抜した練習生の中で、女の子たちからエネルギーを感じたので、ガールズグループになりました。その過程で、女性グループに対する音楽業界のさまざまな固定観念があることを知りました。例えば、「男性グループに比べてファンダムが弱い女性グループは活動寿命が短い」といった俗説などです。そんな固定観念を破ってみたかった。また、メンバーが日本人だけというのも偶然でした。「グローバルアーティストになるためには多国籍でなければならない」という考えもぶち壊したかったんです。常識や固定観念を壊すことに沸々とした「熱」を感じたんです。

そして5年を経てデビューしたXGを通して、世界中の多くの人々に向けて、力強い声で「勇気」と「ポジティブなメッセージ」を伝えられるよう努力しました。多くの方が共感してくださっているようで「XGを好きで応援してくださってありがとうございます」と感謝を伝えたいですね。
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文=竹田ダニエル 写真=帆足宗洋(Avgvst)

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年3月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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