ビジョンを提示し個性を誰よりも把握する
──プロデューサーとして大事にしていることはなんでしょうか。SIMON:僕の目指すプロデューサー像は、アーティストをうまく導き、明確なビジョンを提示できる人。そのためにはアーティストそれぞれのスタイルや特徴、個性を誰よりも把握する必要があります。また、アーティストは誰かに自分の本音を打ち明けることが難しい立場だからこそ、いちばん大事にしているのはメンバーとのコミュニケーションです。
もうひとつは、音楽やコンテンツを含めた文化産業全体に新たな方向性を提示することです。私たちのように「Xtraordinary(常識にとらわれない規格外)」なグループが、これまでとは異なる新たな現象をつくり出すことで、さまざまなジャンルに肯定的な影響を与えられるからです。もちろん「新しさ」だけではなく、良い音楽、良いパフォーマンスをはじめ、完成度の高い作品を誠実に作り上げることもXGALXを率いる総括プロデューサーとして大切にしています。
──(ファンクラブの総称である)ALPHAZを含めたXGというプロジェクトを「オオカミの群れ」と表現されています。チーム、メンバーの先頭にSIMONさんが立っているイメージですが、どのようなリーダーでしょうか。
SIMON:「XGALX」というブランディングにおいて、初期は、「ついてこい」というタイプでした。僕の頭のなかに、自分がつくりたいもの、見たい景色が明確にあったので、メンバーやチームにその熱い思いをシェアしていました。XGを育成してデビューさせるまでは、時には率直なフィードバックをしながら、より正しい選択をするために努力してきました。育成、制作ともに厳しく妥協せずにやってきたこともあり、時には情熱が過剰な時もあったかもしれません。
しかし、その過程でさまざまな経験をし成長しながら、僕自身も変わった部分があります。今はこの情熱をどうすれば伝わるのかを考え、正しい方向性を提示しながら、絶えず一緒にぶつかり合い、意見を交わしながら、前に進んでいます。明らかなのは、人生で最も熱く大切な時期を僕たちは一緒に経験しているということです。おかげで強い信頼、強い連帯感、結束力が生まれましたし、徐々に自分たちだけの「DNA」を作っていけていると感じています。
一方で、素晴らしい才能を持ったアーティストの力量を100%ではなく、120%、200%以上、引き出せるかは、リーダーとチームが考えるべき課題です。リーダーは、アーティストたちが爆発的な潜在能力を「自発的に起こせる」ように引き出す存在にならないといけない。また、そのようなアーティストをサポートできるよう、チームにも原動力を与えなければいけません。本当に難しいことであり、僕も今なお努力の旅をしている途中です。
──メンバーからの信頼を得るために、「大人としてしっかりしなければ」「自分が完璧でなければ」と、自らにプレッシャーを与えましたか。
SIMON:僕自身がもっと良いものを学んで、彼女たちに良いものを与えたいという思いがあります。彼女たちを歴史に残る偉大なアーティストにするために、自分自身がいちばん成長した気がしますね。