イスラエルを拠点とするForsea Foodsは、これまでの培養肉の製造方法とは異なる「オルガノイド」(臓器類似構造体)技術を使用して日本うなぎの肉を作った。現在主流の細胞培養では、肉の形になるように細胞を保持するスキャフォールド(足場)を使うが、オルガノイドは細胞自身が自然な肉の三次元構造を形成するので、それを必要としない。そのため大幅なコストダウンが見込まれるという。
ニホンウナギは乱獲によって絶滅の危機にあり厳しい捕獲規制があるものの、価格が高騰したことから不法取引が絶えない。それに代わるウナギの養殖でも、稚魚の不正取引や産地偽装など、ウナギは何かと問題が多い。卵から育てる完全養殖の研究も進んでいるが、我々が気軽に食べられるようになるには、まだちょっと時間がかかりそうだ。
もうひとつの選択肢が細胞培養肉だ。10年前は培養肉のハンバーガーがひとつ3000万円と話題になったが、今はずっと安くなっている。価格はまだ公表されていないが、Forsea Foodsのオルガノイド技術がさらにコストダウンを実現してくれることを期待したい。
今回試作されたニホンウナギは、世界的に知られる料理人、楠本勝三氏の手によって蒲焼きとにぎり寿司になった。今後も、楠本氏との共同開発を進めるという。
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