北米

2024.01.24

米政府が発表した「光ファイバー」への投資をイーロン・マスクが非難

イーロン・マスク(Photo by Beata Zawrzel/NurPhoto via Getty Images)

米国のバイデン大統領は1月19日(現地時間)、ノースカロライナ州の過疎地における高速インターネットに8200万ドル(約120億円)を投資すると発表した。この決定は、最近約9億ドルの米国政府との契約を失ったスターリンクを運営するスペースX社のイーロン・マスクCEOから批判を浴びている。

バイデン政権が19日に発表した投資は、トランプ前大統領が任命した連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員から強い反発も浴びた。同委員は、この投資には1カ所あたり5125ドル(約76万円)のコストが必要だと指摘、これに対し、スペースXへの農村部デジタル機会基金(Rural Digital Opportunity Fund)の補助金を延長すれば、1世帯あたりのコストは1377ドル(約20万円)に抑えられると主張した。

しかし、スターリンクの衛星インターネットを利用するためには、1台当たり599ドル(約9万円)からという高価な機器が必要で、将来的にはアップグレードも必要になる。

バイデン大統領は、「光ファイバーケーブルは今この瞬間にも地中に敷設されている」と述べ、スターリンクを利用するための設備投資は必要ないと語った。

マスクはカー委員の批判に飛び乗り、「バイデン政権の決定は常軌を逸している」と述べ、スターリンクの衛星インターネットの帯域幅能力が、FCCが定める高速ブロードバンドの定義を「大幅に超えている」と主張した。

インターネットプロバイダーの比較を行う独立系の調査機関BroadbandNowのタイラー・クーパー編集長は、フォーブスの取材に対し、「今後10年以上に渡り、国の帯域幅の要件を満たせることが確認されている唯一の技術は、光ファイバー・インターネットだ」と述べた。彼は「スターリンクは米国の農村部にとって素晴らしい選択肢になり得る」としながらも、「連邦政府は常に光ファイバーへの投資を優先させるべきだ」と語った。

スペースXの連邦政府との契約は、同社がプログラムの要件を満たすことができず、その申請が受理されてから2年後の昨年12月に正式に却下された。カー委員は、この決定に異議を唱え、光ファイバーの敷設は「30億ドル近くの追加の費用」が必要になると主張した。

バイデン大統領が19日に発表した計画は、全米で数百万人にのぼる過疎地域の住民にインターネット接続をもたらすための計画のほんの一部に過ぎない。ホワイトハウスによると、バイデン政権の「アフォーダブル・コネクティビティ・プラン」は、ノースカロライナ州の88万世帯以上にすでに推定4億4000万ドル(約む650億円)の節約効果をもたらしたという。

大統領によると、ノースカロライナ州に敷設される光ファイバーケーブルは、米国内で製造され、コーニング社とコムスコープ社がヒッコリー市で運営する2つの工場から供給される。両社は同州に5億5000万ドル以上を投資し、さらに650人の製造業の雇用をもたらすと約束した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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