研究によれば、ほとんどの人は、アイデンティティや道徳的な指針を幼少期に身につける際に、親や教師など外部の権威に大きく依存している。これは、自分自身のニーズよりも他人の欲求や期待を優先する傾向、つまり「人を喜ばせようとする」行動につながり、幸福感や本物の自己との一致が犠牲になることがある。
セルフオーサーシップを身につけると、他者を喜ばせたり、他者に同調したりする圧力に抵抗できる可能性が高くなり、自発的で納得した生き方ができる可能性が高くなる。これは個人の成長において重要な側面である。
「人を喜ばせようとする傾向」を緩和するセルフオーサーシップの効能
セルフオーサーシップは自信と自立を育む上で不可欠だ。それは、以下のように「人を喜ばようとする傾向」を断ち切ってくれる。・個人の自律性を育む:セルフオーサーシップは、自分の人生をコントロールし、批判的思考能力を発展させ、前提を疑い、情報を分析し、自分自身の価値観や信念を基礎にして、情報に基づいた決定を下す力を個人に与える。自分の意見に自信を持つようになるにつれて、真の自分として生きられるようになり、必要なときには「いいえ」と言い、自分の要求や好みを積極的に伝えられるようになる。
・回復力を高める:セルフオーサーシップは、困難に直面した際の回復力に寄与する。2021年の研究によると、セルフオーサーシップを身に付けることは成熟の証であり、対立や意見の不一致は人生における自然なできごとであると理解することで、幸福感のレベルが高まる。セルフオーサーシップの持ち主は、調和を保つために対立を避けるのではなく、それを個人的な成長と学びの機会として捉える。
・人間関係の改善:研究によれば、セルフオーサーシップを、完全孤立主義や他人の意見を完全に否定することと混同すべきではない。そうではなく、セルフオーサーシップを身に付けた個人は、単に他人の視点を尊重しながら、自分の意見を持つのだけなのだ。彼らは他人の自律性を理解し支持した上で、自分自身の明確な境界を決めるので、健全な関係を保ちやすい。