働き方

2024.01.22

「次は自分かも」 人員削減の予告が従業員のメンタルヘルスにもたらす影響

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グーグルの最高経営責任者(CEO)のスンダー・ピチャイは1月17日、従業員に宛てた社内文書で、数カ月以内に「職務の廃止」がさらに行われる可能性があると警告した。「我々には野心的な目標があり、今年は大きな優先事項に投資する」と、米ニュースサイトのザ・バージが入手したこのメモにピチャイは書いている。「現実には、この投資ができるようにするためには、厳しい選択をしなければならない」。

グーグルは先日、広告や営業、エンジニアリング、ハードウェア、Googleアシスタントのチームなど、さまざまな部署で数百人の従業員を解雇した。ピチャイによると、この人員削減は「一部の領域で実行を簡素化し、速度を上げるために層を取り除く」ものだったという。

ピチャイはさらなる人員削減の可能性を示唆しながら、従業員のために今後のことにも珍しく言及。「これらの変更の多くはすでに発表されているが、前もって言っておくと、一部のチームでは引き続き年間を通じて必要な場合に、特定のリソース配分の決定を行う。影響を受ける職務もあるかもしれない」とピチャイは説明した。

昨年より小規模な人員削減

ピチャイは、2024年の人員削減は 「昨年のような規模ではなく、すべてのチームに影響が及ぶわけではない」とスタッフに断言した。

グーグルは2023年、アルファベット労働組合から「容認できない行為」とみなされた動きの中で、全従業員の約6%にあたる1万2000人を解雇し、世論の批判にさらされた。報道によると、人員削減の対象となった理由が明確でなかったとされている。

グーグルの従業員は、解雇が評価によるものなのか、報酬によるものなのか、あるいは特定の指標に結びついたものなのか、知らされなかった。米CNBCテレビは「誰が、なぜ解雇されたのかを知るために、従業員たちは社の質問プラットフォームのDoryに殺到し、バーチャルのコミュニティを立ち上げた」と報じた。こうした動きを受けて、従業員たちは取締役から、翌週に開催される対話集会で質問するようにと言われた。

解雇を免れた人への影響

失業による感情面への影響は、ストレスや不安、さらには憂鬱感を増大させる可能性がある。人々のアイデンティティは仕事の経歴と結びついていることが多いため、職を失うことに恥や失敗のようなものを感じる人は特に大きな影響を受ける。解雇された人は経済的に不安定になったり、住居や食料の確保が覚束なくなったりするかもしれず、メンタルヘルスが悪化するおそれがある。

雇用者と労働者の双方にとって、解雇が心理に及ぼす影響を理解し、メンタルヘルスを優先することが重要だ。経営者は、職業相談や職業訓練、財政面でのアドバイスなど、従業員の次のステップへの移行を支援するために十分な案内やサポート、リソースを提供すべきだろう。

会社に残る従業員にとっても、解雇が続く見通しであることは、メンタルヘルスに大きな影響を与える可能性がある。

ピチャイは社内メモでこのことを認めており、「同僚やチームが影響を受けるのを見るのはとても辛いことだと思う」と書いた。
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翻訳=溝口慈子

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