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2024.02.01 14:30

診療の多言語化で目指す、健やかな異文化共生社会

澤田真弓|メディフォン代表取締役CEO

日本を訪れる観光客や外国人労働者が増えるなか、医療現場で外国人患者と意思疎通するため奔走する医療通訳者。専門知識が必要だが多くはボランティアで、人手不足が深刻だ。そこで通訳者と病院をマッチングし遠隔での医療通訳を可能にしたサービスが「mediPhone(メディフォン)」だ。メディフォンを立ち上げた澤田真弓は留学後、ベンチャー企業を経て米グーグルへ転職。同社在籍中にポリオ撲滅に取り組むNPO法人JIGH創設者の渋谷健司に出会い参画した。

着想のきっかけは医師の「ヒンディー語話者の患者に問診できず、困っている」という一言。調べると、日本語が分かる社員が同僚の診察同行を頼まれるなど、業務外労働やプライバシー侵害の問題も起きていた。「日本語を話せる子どもが外国人の親の診察に付き添い重大な病気の告知を受けることもある」と澤田は心を痛めた。医療通訳の仕組み整備が必要だと考え2014年にメディフォンをリリースした。

メディフォンは32言語の登録医療通訳者と連携し電話やビデオ通話での医療通訳を365日提供するほか、機械翻訳での107言語の翻訳サービスも手がける。導入医療機関数は8万8500以上と業界トップを誇り、自治体や学校等への導入も進む。日本の高度医療受診を目的とした医療ツーリズム分野でも一役買えると期待する。23年10月には外国人患者受け入れノウハウ等を提供するオウンドメディア「多言語医療ジャーナルPORT(ポルト)」も立ち上げた。リモートワークが増え、社員のメンタルヘルス含む健康を遠隔でケアする需要が拡大したことから、21年4月にクラウド健康管理システム「mediment(メディメント)」の提供も開始。ストレスチェックに18言語で対応し健康管理の分野でも多言語化を進める。外国人患者は金銭的問題で通院をやめる人もおり課題は言語だけではない。

「医療を受けやすくすれば誰もが健康に暮らしやすくなる。医療通訳から社会の多様化を加速していきたい」。


さわだ・まゆみ ◎1983年、愛知県生まれ。東京外国語大学卒業、北京大学漢語進修プログラム修了。英インペリアルカレッジロンドン大学院にて経営学修士号取得。帰国後、米グーグル等を経てメディフォンを創業。中国留学中に現地でネイルサロンを起業した経験も。

文=菊池友美 撮影=林 孝典

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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