2024年問題を簡単に説明すると、働き方関連法の一環としてことし4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が施行される。かねてからの少子高齢化によるドライバー不足、コロナ下で急増した物流量と相まって、今年国民全体が直面する問題。新聞紙面でその対策を目にする日も増え、自動運転が検討されていたり、効率的な輸送ルート解析にデジタル技術の活用が進み、衣類やオムツ・生理用品はそれに含まれる空気をぎゅっと圧縮してカサを小さくする技術が登場したり、様々なテクノロジーに可能性を感じる。
国土交通省は1.商慣行の見直し、2.物流の効率化、3.荷主・消費者の行動変容を提言している。具体的には、全国の物流拠点や物流網の再構築と輸送の共有化が分かりやすく効果が大きそうだ。
輸送手段の共有化、メーカー各社から個別の消費者までの輸送ルートをそれぞれバラバラではなく、3PL(サードパーティーロジスティック)などが間にはいることで、なるべくまとめて効率化する、という考え方だが、これを業界では「共同配送」というそうだ。
この共同配送事業の草分けで、1990年代から共同配送に取り組むのは、東京都足立区に本社をおくライフサポート・エガワ(以下LSE)だ。LSEが行っているのは、お菓子の共同配送といって、自社倉庫にメーカーから運ばれてくる商品を在庫として一時保管し、顧客からの指示に応じて全国各地の物流拠点へ配送するというもの。
LSEは1992年に日本で初めてお菓子の共同配送事業を始めた。
なぜ共同配送を思いついたか、江川哲生社長に話を聞いた。
「自然とできた仕組みです。LSEの前身の江川運送では1962年の創業当初からトラックドライバーにあいさつや気配りのような社員教育を熱心に行っていました。ある時から荷受けサイドの小売店から荷主であるメーカーに、今後の物流は江川運送に統一して欲しいとの依頼が増え始めました。その理由は、江川運送のドライバーは荷物の取り扱いが丁寧だし、仕事も早い。早めに到着したら荷受け場の掃除をする人までいる、というものでした。
当時はまだトラックドライバーさんにはガラの悪いイメージがあった時代で、マナー教育の行き届いた江川運送のドライバーの振る舞いは目立つものだったようです。小売店各社がメーカーに江川運送のドライバーを名指しで依頼しはじめたおかげで、誰かが意図したわけでも、特に営業活動をしたわけでもなく、自然と当社の倉庫に貨物が集まり、共同配送の仕組みが出来上がりました」