ゲームサブスク利用は頭打ちの様相 Game PassとPS Plusの展望はいかに?

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ゲームのサブスクリプションサービス利用者は、新型コロナウイルスの流行中に爆発的に増加した。だが、マイクロソフトが2022年1月を最後に同社のサブスクサービス「Game Pass」の会員数を2年間にわたり公表していないことからも推測できるように、それ以降の成長はかなり鈍っている。

米調査会社サカーナ(旧NPD)のゲーム業界アナリスト、マット・ピスカテラは18日、X(旧ツイッター)への投稿で、ゲームサブスクの成長が横ばいになっていると説明。家庭用ゲーム機とPCのサブスクへの支出は、全ゲーム支出のわずか10%に過ぎないと指摘した。このことからは、ディスクや売り切り型のダウンロードといった販売形態が消滅し、ゲーム業界がネットフリックスのようなサブスクのエコシステムに移行するという見方は実現しないことが示されている。

これは、特にマイクロソフトとソニーにとって、さまざまな意味で重要だ。

マイクロソフトは、Xboxの「エコシステム」を構築するという構想に巨額を投資している。その柱となるのが、XboxやPCで利用できる「Game Pass」や、あらゆるデバイスでゲームを遊べるクラウドストリーミングの普及だ。しかし、そうしたサービスの現在の成長ペースは、マイクロソフトが会員数などを公表することに抵抗があるほど鈍化しているもようだ。大作のAAA(トリプルエー)ゲームを「Game Pass」に直接投入するためのコストがどんどん上昇する一方で、それを正当化できるような成長がない場合、どうなるのだろうか。幸い、時価総額3兆ドル(約440兆円)弱の巨大企業であるマイクロソフトは、たとえそうなっても気にしないかもしれない。しかし「Game Pass」が黒字だという主張をいつまで押し通せるのかはわからない。

一方のソニーは、PlayStationに同等のサブスクサービスがないことに苦戦している。ソニーのサービス「PS Plus」は発売から時間が経ったゲームしかプレイできない。新作はまずPSのみでリリースされ、運が良ければPCでかなり後にリリースされるため、リーチが限られてしまうのだ。つまり、ソニーは新作ゲーム発売時には大きな売り上げを得られるものの、Xboxのような「エコシステム」がない。しかし今となっては、それを追求するために必要な費用をかける価値はなく、大作ゲームを発売初日にサブスクで配信する「Game Pass」のようなモデルは損失が大きすぎるという当初の考えを貫いた方がよいかもしれない。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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