そこでウクライナは隣国ポーランドとチェコに目を向け、両国が数年前に行ったことを実行したようだ。それは、旧ソ連製の防空システムを改造し、西側製のミサイルを発射できるようにすることだ。
当局者はこうしたハイブリッド地対空ミサイル(SAM)システムを「フランケンSAM」と呼んでいる。そのうちのひとつが、初の敵機撃墜に成功した。標的となったのは、ロシア軍のドローン(無人機)のシャヘドだ。
ウクライナのオレクサンドル・カムイシン戦略産業相によると、この攻撃は1月16日夜~17日未明にかけ、射程9kmで行われた。急襲したシャヘド20機をフランケンSAMが迎撃し、うち19機を撃ち落としたという。
どのフランケンSAMがシャヘドを撃墜したのかは不明だ。フランケンSAMには3つのバージョンがある。1つ目は、米国製の艦対空ミサイル「シースパロー」と旧ソ連製の地対空ミサイルシステム「ブーク」を組み合わせたもの。2つ目は、米国製の空対空ミサイル「サイドワインダー」を発射する旧ソ連製の別の車両(おそらく「オーサ」)。3つ目は、米国製の地対空ミサイル「パトリオット」とおそらく旧ソ連製のレーダーの組み合わせだ。
ブークを使用したフランケンSAMは、レーダー誘導のシースパローで約16km先の標的を狙えるはずだ。赤外線誘導のサイドワインダーを発射するタイプの射程はやや短いかもしれない。レーダー誘導のパトリオットを使用したパターンは最も射程が長く、約145kmだ。
射程の短い2バージョンは昨秋、米国で試験が行われたと伝えられている。射程の長いバージョンは、今も開発中である可能性がある。
3つ目のバージョンが遅れているのには理由がある。ブークと、おそらくオーサを使ったそれぞれの組み合わせには、前身となるものがある。2012年、ポーランドの企業が外国のバイヤーに対し、ブークとシースパローの組み合わせを売り込んでいた。