暗号資産

2024.01.19

米空軍のサイバーアナリストが「NFTのラグプル詐欺」で逮捕

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フロリダ州の検察当局は、現役の米空軍のサイバーアナリストであるデヴィン・アラン・ローデンをNFTの「ラグプル詐欺」の実行犯として告発した。ラグプルとは、暗号資産プロジェクトの主催者が誇大宣伝により価格を高騰させた後、資金を持ち逃げする詐欺のことを意味する用語だ。

ローデンのものと思われるLinkedInのアカウントによると、彼は米空軍で最高機密にアクセスできる権限を持っていた。また、19ページにおよぶ告訴状によると、ローデンは2022年当時に人気を誇ったNFTの「Bored Apes Yacht Club」の画像を模倣した「UndeadApes NFTs」と呼ばれるNFTの作成と宣伝に関与していた。

フォーブスは米空軍にコメントを求めたが、回答は得られなかった。ローデンともう1人の容疑者は「Undead Tombstones」というNFTコレクションのリリースに際し「Stoned Ape Crew」という、より成功しているグループと取引をしたと主張していたが、当局によるとこれはまったくの嘘で、Undead Tombstonesとその前に発行した2つのNFTコレクションの価格は暴落した。

裁判記録によると、ローデンは詐欺の疑いで先週逮捕され、マネーロンダリングと政府機関に対する虚偽陳述罪で起訴された。彼の公選弁護人であるアダム・アレンにコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。ローデンは、1月11日に2万ドル(約295万円)の保釈金で釈放された。

告訴状に記されたローデンのチャット記録によると、彼はこの詐欺で約25万ドルを稼いだとされている。彼は、稼いだ金で家を購入し、「長年の夢だったクルマをキャッシュで購入した」「6カ月分以上の貯蓄がある」「まだ金が残っている」などと自慢したとされる。捜査当局が入手したDiscordのチャット記録で彼は「莫大な金を稼いだ」と書き込んでいた。

ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)によると、今回のようなNFTを悪用したラグプル詐欺で、これまでに数十億ドル規模の被害が発生しているという。捜査当局が入手した、ローデンの検索履歴には「コインベースにはKYCがあるか?」というものが含まれていた。KYCとは「Know Your Customer」の略称で、主要な金融機関が実施している本人確認手続きのことを指している。

彼はまた「ユーティリティNFTでラグプルが発生したらどうなるか?」と検索し、同日に電信詐欺に関連する連邦刑法を調べていた。ローデンの今後の裁判日程は、今のところ決まっていない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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