このたび注目を集めたのは、ラリアンの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のスヴェン・フィンケが、同業の仏Ubisoft(ユービーアイソフト)幹部による発言に対して示した見解だ。ユービーアイソフトの幹部は、サブスクリプションモデルこそがゲームの未来であり、プレイヤーは今後、コンテンツを所有しないことに「慣れる」必要があると語っていた。
フィンケは、これに真っ向から反論している。彼は、『バルダーズ・ゲート3』のXbox版発売を発表したときでさえ、同作をマイクロソフトのサブスクサービス「Game Pass」で配信することはないと明言していた。今回、X(旧ツイッター)で投稿したコメントでは、ゲームが持つ価値や、サブスクモデルがゲーム業界に長期的にもたらしうる弊害についての見解を詳細に説明した。以下はそのコメント全文だ。
「ゲームの未来がどうであれ、最も重要なのは常にコンテンツだ。しかし、もしサブスクリプションが支配的なモデルになり、少数のグループが何を市場に出すか出さないかを決めるようになれば、良いコンテンツを手に入れるのはかなり難しくなる。大事なのは、ゲームを開発者からプレイヤーへ直接届けることだ。
理想主義を原動力とするプロジェクトを取締役会に承認させることはほぼ不可能であり、理想主義には存在する余地が必要だ。たとえそれが大失敗につながる恐れがあったとしても。サブスクリプションモデルは必ず、最終的には利益を最大化するための費用便益分析になる。
それは決して悪いことではないが、サブスクリプションサービスが市場を独占することにはならないかもしれない。私たちはすでに、少数のデジタル配信プラットフォームに依存しており、ディスカバラビリティ(ユーザーによる発見されやすさ)はひどい状況だ。これらのプラットフォームがすべてサブスクリプションに切り替われば、むごたらしい状況となるだろう。
そのような世界では当然、どんなゲームが作られるかはサブスクリプションサービスの好みによって決まる。そんなことは、人々は決して望まないはずだ。
私たちのゲームは今後、サブスクリプションサービスで配信されることはない。ただ、多くの開発者にとって、サブスクリプションサービスがゲームを作るチャンスであることは尊重する。それが問題だとは思わない。ただ、価値のある他のエコシステムを死なせたくないだけだ」