教皇は8日の外交関係者向けの年次演説で、子どもは決して「商業的な契約の基礎」になるものではなく、女性が他人のために子どもを身ごもる代理出産は「母親」を物質的に搾取するものであり、人間の尊厳に対する重大な侵害だと訴えた。
また、西洋文化が子どもや高齢者、病人を切り捨て、「死の文化を広め続けている」と批判。「平和への道には、母親の胎内にいる胎児の命から始まる、すべての人間の命に対する尊重が求められる。これを抑圧したり、人身売買の対象にしたりしてはならない」と述べた。
教皇はここ数年間にわたり、代理出産が女性を搾取し、人間の尊厳を侵害すると批判してきた。2022年には、代理出産は「子宮の賃貸」だとし、非人道的な慣習が広まりつつあると糾弾。さらに、代理出産が「商品として扱われる」貧しい女性や子どもたちを搾取していると指摘した。他方で、教皇によるこうした批判とは裏腹に、ローマ教皇庁は同性カップルが代理母を通じて生まれた子どもに洗礼を受けさせることを承認したと米AP通信は報じている。
代理母に報酬が支払われない利他的代理出産は、ベルギー、オランダ、英国など、欧州諸国の一部で法的に認められている。一方、代理母に報酬が支払われる営利目的の代理出産は、米国の一部の州で許可されている。また、代理出産の仲介業者センシブルサロガシーによると、カナダなどでは、妊娠中にかかった費用を代理母に補償することが認められている。
(forbes.com 原文)