活躍の舞台は世界、前進を続ける若きピアニスト
角野隼斗氏は本誌Forbes JAPANが世界を変える30歳未満の30人を選ぶ「30 Under 30」を、2023年に受賞した新鋭のピアニストだ。2020年に発表したアルバム「HAYATOSM」がApple Musicなどで現在配信されている。翌2021年にショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストに選ばれた角野氏が弾く、澄みわたるピアノの音色に耳を傾けたい。全12曲の中に収録する角野氏のオリジナル作品は美しいメロディと、思わず息を吞む角野の超絶技巧が聴きどころだ。2023年の春に、角野氏は東京のほかニューヨーク・マンハッタンにも活動拠点を広げた。角野氏による海外公演の機会は以前から順調に増えていたが、ニューヨークに足場を築いてからはボストン・ポップス・オーケストラとの共演を実現。さらにフランス、ドイツ、イタリア、中国、オーストラリア、韓国、クロアチアなど世界各所での公演も行なった。「30 Under 30」の受賞には日本国内からだけでなく、角野氏の活動に注目する海外のファンからも多く祝福の声が寄せられたという。
ニューヨークに拠点を構えたことが、音楽家・演奏家としての角野氏に大事な経験をもたらした。
「私は以前からジャズのことをもっと知りたいという思いを持っていたので、ニューヨークに暮らしてからジャズのセッションに触れる機会を大切にしています。クラシックもカーネギホールやリンカーン・センターで行われるコンサートによく足を運びます。西海岸の街に比べるとニューヨークのマンハッタンは米国の中でも比較的コンパクトなので、この街を往来する様々な人々と気軽に会うことができます。多くのアーティストとの交流にも恵まれながら刺激を受けています」
角野氏にはユーチューバー・Cateen(かてぃん)としての顔がある。6人組シティソウルバンド、Penthouseのピアニストとして、1月24日にデジタルシングル『フライデースハイ』をリリースする。多彩な音楽活動を同時に注力することで見えてきた新しい景色があると、角野氏は語る。