バーチャルヒューマンは、AI技術やCGを使用して人間のような外見や動作を持つデジタルキャラクターのこと。中国ではすでにバーチャルビューマンのタレントがライブコマース市場のバーチャル販売員として活躍しており、日本でも昨年に伊藤園が初めてCMにバーチャルタレントを起用した。
そんな「ぴにょきお」を立ち上げたのが、生成AIの研究開発を手がけるAiHUBのCMO、くりえみだ。グラビアアイドルやアイドルとして芸能活動をしたのち、その経験を糧に起業の道を選んだ。彼女はなぜ、バーチャルタレントの事務所をつくったのか。
——くりえみさんが起業に興味を持ったきっかけは?
芸能活動をしてきた経験からです。
私は小学生の時にドラマ「1リットルの涙」を見て沢尻エリカさんが好きになり、セリフを覚えたり、無意識に「自分だったらどういう風に言うかな」などと考えたりするようになりました。そこから女優に憧れて、高校に入るタイミングでオーディションを受けて芸能界に。
ただ、事務所の俳優班に所属することができず、気がつけばバラエティー班でグラビア活動をしていました。幸い、グラビアは嫌ではなかったので続けていましたが。その後、19歳の時にアイドルグループに入ったのがターニングポイントになりました。
かなり過密なスケジュールをこなさなければいけないのに、アイドル活動では食べていけず、夜勤でバイトをしているメンバーもいるような状況。メンバーたちは次々と体調を崩していきました。私も重度のうつ病を発症して、活動を続けることができなくなりました。
その時に思ったんです。「組織に属するということは、誰かの支配下にあること。自分が自由に選択できる状況を手に入れるには、自分で組織をつくるしかない」と。
この時期に、現在のビジネスパートナーでもある投資家に出会ったことも大きくて。投資家は当時の自分に比べて稼働時間が少ないのに、月に何十億ものお金を動かしている。「こういう世界があるのか」と思い、何の疑いもなくどこかの組織に所属することが当たり前だと思い込むのは危険だなと思ったんです。