起業家

2024.01.21 14:30

タレントは24時間稼働できる時代へ。くりえみがバーチャルタレント事務所を立ち上げ

田中友梨

——2021年にS&Eを立ち上げ、DtoC向けクリームシャンプー「AIMERTE(エメルテ)」の開発などを手掛けました。起業の経緯は。

まずは「起業」というものを知ろうと、周りの人に話を聞いたり本を読んだりしました。そのあとは、考えるよりまず行動だと思って。

ゼロから起業するには資金が必要ですが、経営の知識も経験もない自分がいきなりやっても失敗する確率が高い。だったら自分がやりたい美容領域の企業に入って経営を学んだほうが早いと思い、手あたり次第に打診していきました。

その結果、翌週にオープンを控えているという美容クリニックの先生に出会うことができたんです。その先生に「自分はSNS戦略で協力できると思うので経営陣に入れてほしい」と頼み込み、なんとか入れてもらいました。

そこで勉強した後に、S&Eを起業しました。プロダクト開発に加えてエステ事業、マーケティング支援事業と「美」を軸に幅広く展開する企業です。

——2023年9月には、生成AIの研究開発を手がけるAiHUBのCMOに就任。12月にバーチャルタレント事務所「ぴにょきお」を設立しました。AI事業には、どのような可能性を感じて参入したのでしょうか。

2023年の春ぐらいに、X(旧Twitter)で「AI美少女」というワードが毎日のようにトレンド入りしていたんです。いわゆるバーチャルヒューマンなのですが、1カ月で10万人もフォロワーがつくくらい、ものすごい人気で。

それを見て、私も生成AIでもうひとりの自分をつくれたら、経営もタレント活動も、それぞれ100%の力でできるのに、と思ったんです。それで、最もクオリティの高いAI美少女をつくっているアカウントの方にDMを送り、生成AIで「もうひとりのくりえみ」をつくる方法を教えてもらいました。その方が所属していたのがAiHUBだったんです。

AiHUBには生成AI領域の先駆者が揃っていて、圧倒的な技術力とスピードで事業を展開しています。当初はこの領域での起業も検討していたのですが、自分がゼロから始めても勝てないと思い、CMOとして参画することになりました。

そして、「バーチャルヒューマンとエンタメを掛け合わせた新しい芸能事務所をつくったら面白いんじゃないか」という話になり、同社の子会社という形でぴにょきおを立ち上げました。所属タレントやインフルエンサーは、物理的・肉体的限界を超えて新たな形で表現したり、ファンと交流することができます。
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文=久野照美 取材・編集=田中友梨 撮影=小田駿一

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