暗号資産

2024.01.16 17:00

資金洗浄や詐欺で暗号資産「テザー」の利用が急増、国連が警告

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世界で最も取引されている暗号資産の1つに挙げられるテザー(USDT)は、マネーロンダリングを行う犯罪者や詐欺師たちの重要なツールとなっていることが1月15日に発表された国連のレポートで明かされた。
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国連薬物犯罪事務所(UNODC)が15日に開示した東アジアおよび東南アジア地域における組織犯罪と不正なバンキングに関する報告書の中で、テザーはマネーロンダリングと詐欺のツールとして急速に普及したとされている。

テザーの発行元のテザー社は、独自の金融準備金の裏づけでデジタルトークンを発行する企業で、特に米ドルとの交換比率を1対1に保つテザーで知られている。

UNODCは、値動きが少なく匿名性の高さや取引手数料の安さが特徴とされるテザーが、詐欺師やマネーロンダリング業者にとって「好ましい選択肢」になり、組織犯罪グループによって使用される「最も人気の暗号資産の1つ」になっていると指摘した。
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さらに、テザーの人気は「セクストーション」と呼ばれる性的脅迫犯罪や、恋愛関係をちらつかせて資金をだまし取る「豚の虐殺詐欺(pig butchering)」などの事件の急増が物語っているとUNODCは述べている。

国連によると近年は、テザーを用いた「洗練されたマネーロンダリング」を行うグループが急増し、フェイスブックやTikTok、テレグラムなどで自分たちのサービスを宣伝しているという。また、違法なオンラインカジノが、テザーなどの暗号資産を用いたマネーロンダリングの最も人気のプラットフォームの1つに浮上しており、この地域の「急速に発展する違法なデジタル経済」を加速させているとされる。

ステーブルコインと呼ばれる暗号資産の一種であるテザーは、ビットコインやイーサのような値動きが激しい暗号資産と比べて、価格が安定していることで知られている。テザーの発行元のテザー社は、銀行預金や貴金属、国債などで構成された資産を準備してその価値を安定させていると主張しているが、2021年にはドル準備高について誤解を招くような発言をしたとして、米商品先物取引委員会から4100万ドル(約60億円)の罰金を科されていた。

テザーは、この記事の執筆時点で1日あたりの取引量が最も多い暗号資産であり、過去24時間で、290億ドル以上が取引(売買)されていた。これに対し、同期間のビットコインとイーサの取引額は、それぞれ約190億ドルと130億ドルだった。

時価総額が950億ドルのテザーは、ビットコイン(約8340億ドル)やイーサ(約3040億ドル)に次いで時価総額が3位の暗号資産として知られている。暗号資産市場全体の時価総額は約1兆7600億ドルとされており、テザーはその約5%を占めている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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