ライブサービスゲームが抱える巨大リスク 『スーサイド・スクワッド』に暗雲

安井克至

新作アクションゲーム『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』(C)Rocksteady Studios

間もなく発売されるRocksteady Studios(ロックステディ・スタジオ)の新作アクションゲーム『スーサイド・スクワッド キル・ザ・ジャスティス・リーグ』については、そのコンセプトをめぐる多くの疑問が浮かぶ。DCコミックスの悪役チーム「スーサイド・スクワッド」を主役とした映画2本が不振に終わったにもかかわらず、それに焦点を当てたゲームを本当に制作すべきだったのか? 代わりに、スーパーヒーローチーム「ジャスティス・リーグ」から別のメンバーを1人選んで、『バットマン:アーカム』シリーズのようなゲームを作るべきだったのではないか?

しかし同作をめぐる一番の不満は間違いなく、ロックステディが得意とするシングルプレイゲームではなく、協力プレイのライブサービス型ルートシューターとしてデザインされたことにある。今や、このジャンルのゲームを成功させるのは非常に難しい。

その理由は、単なる「ジャンル疲れ」ではない。個々のゲームだけを見ると確かに、レアな戦利品(ルート)を集めなければいけないものや、シーズンごとのバトルパス購入が必要なタイトルに人々はうんざりしているかもしれない。だが、ライブサービスゲームの核心的な問題は「時間」だ。それはプレイヤーの時間であり、開発者の時間でもある。

多くのプレイヤーが、しっかりと作りこまれた新作シングルプレイゲームを楽しみにしているのには、理由がある。ソニーや任天堂は、そうしたシングルプレイ専用タイトルを自社の強みとしてきた(ただ、任天堂はパーティーゲームにも力を入れている)。一方、マイクロソフトのXboxは『Halo』や『Gears of War』、『Forza』などのシリーズでマルチプレイに強みを持っているが、そうしたタイトルであってもシングルプレイキャンペーンは高く評価されており、今後もそうした系統のゲームが登場する予定だ。過去10年間の主要ゲーム賞「The Game Awards」で、最高賞のゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)を受賞した10本のうち、8本がシングルプレイゲームだったのには理由がある。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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