MUTEK.JPは、2016年に初開催。今年で8回目を迎えた。今年は、Spotify O-EASTとWOMBの2会場で、国内外のアーティストによるライブパフォーマンスや、XR体験、カンファレンスなどが行われたほか、メディアアートの制作ツールであるTouchDesignerのワークショップ、COLE HAAN店舗でのデジタルアートギャラリーなど多様なコンテンツが展開された。
「オーディオビジュアルのショーケースだけでなく、最新のテクノロジーを体験する機会や、学生が参加できるワークショップもあり、カンファレンスではメディアアートの最新動向や今後の可能性について議論する。このように総合的なプログラムを行うことで、いろいろな方が会場に出入りすることができるよう設計しています」
そう語るのは、MUTEK.JPの代表を務める岩波秀一郎。二人三脚でイベントを運営する、理事の竹川潤一とともに話を聞いた。
国境や性別や年齢を超えて
MUTEK.JPでは、電子音楽、ビジュアルアート、ダンス、パフォーマンスなど、さまざまなジャンルの作品が集まる。また、参加するアーティストの国内外の比率は50%が日本ローカルで残り50%が海外と、国境を越えた交流も活発に行われている。加えて岩波が強調するのは「ジェンダーイコーリティ」。カンファレンスやWOMBで開催されたナイトセッションでも女性の出演者が多数出演していた。
若いアーティストをピックアップすることも強く意識している。例えばカンファレンスに登壇したデジタルアーティストのYUMA YANAGISAWAは、COLE HAANとのコラボレートイベントでもインスタレーションを披露したが、彼はまだアーティスト活動をはじめて3年目だ。
「一部で高く評価され、これから世界的にどんどん活躍していくことが期待されているアーティストですが、日本では全然知られていません。彼のやっているアートやその表現についてのパネルトークの機会を作り、少しでも多くの人に彼の活動を知ってもらうことで、広がりを持てる。MUTEKはそういったプラットフォームであるとも考えています」(岩波)
2016年から今回まで、体験価値の高いフェスティバルとして、アーティストやクリエイターの国際文化交流の場として機能してきたと手応えを語る岩波と竹川の両氏。彼らのもとには「自分もいつかMUTEKに出たい、MUTEKという舞台で作品を発表したい」という若い世代のクリエイターの声がだいぶ聞こえるようになってきたという。