タイで3番目に裕福な人物とされるチャロン・シリヴァダナバクディが創業した同社は、グループCEO兼第一副会長にチャロンの息子で会長のタパナ・シリヴァダナバクディを指名したと発表した。また、タイ事業を統括する社長兼CEOにコシット・スクシンガを、国際事業を統括するCOOにプラパコン・トンテッパイロットが就任した。この2名はタパナ新CEOの直属の部下となる。
バンコクに本社を置くタイ・ビバレッジは、6月27日付で実施するこの組織再編で、タイやベトナム、ミャンマー、マレーシア、シンガポールを含む東南アジアの主要市場における業務の相乗効果を高めていくと述べている。この改革はまた「地域ブランド・ポートフォリオの成長をサポートするため、新市場での事業開発と投資を促進する」とされる。
タイ・ビバレッジはまた、競争力と経営効率を高めるためにテクノロジーを活用してきたと述べた。「当社は、バリューチェーンに人工知能(AI)とアナリティクスを導入し、収集したデータを分析することで、流通網の強化に役立つ知見を得た。我々はまた、生産効率の向上に役立つオートメーションとロボット工学を生産に導入した」と同社は述べている。
タイ・ビバレッジの2023年9月期の売上高は、国内での消費と観光客の増加にともなうビールの販売量が急増したため、前年比2.5%増の2790億バーツ(約1160億円)となった。同社は昨年、フランスのラーセン・コニャックとニュージーランドのカードローナ蒸留所を買収し、酒類事業も拡大している。
フォーブスが昨年7月に発表した「タイの富豪50人」ランキングの3位に入ったチャロンの保有資産は、136億ドルと試算されている。タイ・ビバレッジを所有する彼は、シンガポールに上場する不動産会社フレイザーズ・プロパティの支配株主でもあり、バンコクを拠点とするホテル開発会社アセット・ワールド・コーポレーションの支配株主でもある。
チャロンの次男のパノテがグループCEOを務めるフレイザーズ・プロパティは、バンコク中心部にタイ史上最大の民間不動産開発プロジェクトとされる40億ドルの複合施設「ワン・バンコク」を建設中だ。
(forbes.com 原文)