アート

2024.01.19

メトロポリタン美術館とブランドのコラボ 共通点や記憶を形に

White+Warren×メトロポリタン美術館のカシミヤセーター(C)White+Warren

美術館を訪れる理由は、いくつもある。名作と呼ばれる作品や古代の工芸品を鑑賞したり、インタラクティブな展示物で新たな体験を楽しんだりすることもそうだ。だが、それらは理由のうちの、わずかな一部にすぎない。

正直なところ、館内のギフトショップに並ぶ商品が目的のひとつだという人もいるだろう。そして、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館(Met)のギフトショップはいま、そうした人たちの関心を、これまで以上に集めている。

歴史的に名高いこの美術館と、高級ニットウェアブランドWhite+Warren(ホワイトウォーレン)のコラボレーションによって誕生したカプセルコレクションが、その理由だ。

White+Warrenのプレジデント、キャサリン・モリシーは、デザインチームは新たなコレクションについて検討するなかで、「美術館に行くことで呼び起こされる好奇心や、もたらされる新たな発見」に注目したと説明。それらについて考えるなかで、「Metとのコラボというアイデアに至った」と述べている。

2024年の年明けにローンチしたこの新たなコレクションには、いずれも100%カシミヤを使用。2種類の柄のクルーネックセーターと、トラベルラップ(ストール)とビーニー(ニット帽)、合わせて10種類のアイテムを提供している。

展示作品から着想

カプセルコレクションは、Metに所蔵されているいくつかの作品からアイデアを得ている。なかでも大きな影響を受けているのは、どちらもセーターのデザインの原案とした、2枚のタペストリーだ。

その1枚は、分館のひとつであるクロイスター美術館(The Met Cloister)が所蔵する、15世紀にアッパー・ライン(ライン川上流)地方で制作されたとみられているタペストリーの一部。

もう1枚は、Met5番街本館に展示されている、スイス北部ゾロトゥルンのグレーダー家の紋章がモチーフのタペストリー。1691~1694年ごろに制作されたとみられているものだ。

また、トラベルラップとビーニーには、かつてのMetの象徴的な「ロゴ」、ルネサンス期の文字の「M」の刺しゅうを施している。モリシーは、その刺しゅうを入れることにで、「美術館のルーツに対する敬意を表したかった」と話している。
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編集=木内涼子

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