今なお続く景気の先行き不透明感から、企業は経費削減策を打ち出し続けている。世界最大手のワークスペースプロバイダーIWGが最近実施した調査で、米国の最高財務責任者(CFO)の81%が、働き方を組み合わせたハイブリッドワークは、経費削減に貢献していると考えていることがわかった。
IWGのデータによると、テレワークとオフィスワークを組み合わせるハイブリッドワークを導入した米企業のCEOの89%が、直接的な結果として経費削減を実感している。経費削減の方法は、オフィススペースの縮小(25%)、オフィス内アメニティの削減(33%)、コワーキングオフィススペースのコスト削減(32%)だった。
その他の利点
経費の節約に加え、雇用主は従業員の幸福度や生産性の向上も実感している。ハイブリッドワークという柔軟な働き方を採用して以来、CEOの10人に7人が従業員の幸福度が急上昇したと報告した。ハイブリッドワークになることで、従業員はワークライフバランスを取りやすくなり、これが勤務中の集中力と生産性の向上につながっている。CEOの約60%が生産性の向上が見られたと回答した。
ハイブリッドワークによる通勤時間の短縮は、通勤費の節約や心身の健康の改善など、従業員にとっていくつかメリットがある。調査によると、ハイブリッドワーカーの方が睡眠時間が長く、健康的な食生活を送っている。また、体重が減少し、メンタルヘルスも向上している。
健全なワークライフバランスは、柔軟で協力的な職場環境につながるため、優秀な人材の獲得・保持に大きな役割を果たす。調査で回答したCEOのほぼ全員が、ハイブリッドワークが自社の評判を高めるのに役立っていると指摘した。
IWGの創業者でCEOのマーク・ディクソンは「この最新の調査は、ハイブリッドワークが、特に経済が不安定な時代において、企業の競争力や耐久力を維持するのに役立っていること、また多くの理由からCEOがハイブリッドワークを導入していることを浮き彫りにしている」と指摘。「従業員のワークライフバランスや幸せを支えるだけでなく、企業の収益にも大きく貢献する」と語った。
ハイブリッドワークは環境面でもメリットがある。将来の働き方についてのレポートで、ディクソンは「最近、エンジニアリングコンサルティング会社のアラップと共同で、ハイブリッドモデルが環境に与える影響を調べる画期的な研究プロジェクトを米国と英国で実施した。その結果は驚くべきもので、居住地域で働くことによって、二酸化炭素の排出量を87%も削減できることがわかった」と報告した。
(forbes.com 原文)