アジア

2024.01.14

北朝鮮、 外国人観光客受け入れへ コロナ後初

北朝鮮の首都平壌にある金日成広場(Pvince73 / Shutterstock.com)

北朝鮮は間もなく、新型コロナウイルスの流行を受けて中止していた外国人観光客受け入れを再開する。複数のメディアが伝えた。国際情勢の緊張が高まる中、孤立する北朝鮮が、小規模な観光産業の復活を検討しているもようだ。

ロシア極東ウラジオストクの旅行代理店ボストーク・イントゥールの広告によると、ロシア人観光客の一団が2月9日から、北朝鮮を訪れる予定。ツアーは4日間で、旅程には首都平壌での滞在、記念碑や博物館、寺院の訪問、馬息嶺スキーリゾートでのスキーが含まれ、四つ星と五つ星のホテルに宿泊するとウェブサイトの日程表にはある。

旅費は1人あたり750ドル(約11万円)。宿泊費、各施設の入場料金や、ウラジオストクからの直行便を含む交通費が含まれているが、スキー場のリフト券やホテルでの朝食以外の食事代は別途発生する。北朝鮮滞在中は、ロシア語を話すガイドが同行するという。

北朝鮮が2020年にコロナ流行を受けて国境を閉鎖して以来、外国人観光客が同国を訪れるのは初めて。参加者数や、続くツアーが計画されているのかどうかは不明だ。

昨年9月、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記がロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談で珍しく外国を訪問するなど、このところ両国の軍事・政治的な結びつきは強まっている。

今回のツアーは、北朝鮮と国境を接するロシア極東のオレグ・コジェミャコ沿海地方知事が昨年12月、経済関係の強化について話し合うために代表団を率いて北朝鮮を訪問したことを受けて実現した。同知事は訪朝中、馬息嶺スキーリゾートに足を運んだと伝えられている。沿海地方当局はその後、2国間の旅行ルートを増やしたい意向を表明した。

西側諸国の多くは、不当に逮捕されたり長期間拘留されたりするリスクがあることから、自国民に対し、北朝鮮に渡航しないよう勧告している。米国務省は、米国のパスポートで北朝鮮に渡航したり北朝鮮を経由したりすることはできないとしている。

今回のツアーには関与していないが、北朝鮮旅行を専門とする中国・北京の旅行代理店・高麗ツアーズのゼネラルマネジャー、サイモン・コッカレルはロイター通信に、観光客受け入れ再開は北朝鮮観光にとって「良い兆候だ」とし、「4年以上も観光客が訪れていないことを考えると、どんな観光旅行でも前向きな動きととらえることができる」と説明。だが、その背後には「特殊事情」があると指摘し、今回のツアーを観光業の「さらなる開放」の兆しととらえることには慎重な見方を示した。

平壌の金日成スタジアムでは来月24日、2024年パリ五輪に向けた女子サッカー予選の日本戦が行われる予定だ。この試合が実現すれば、コロナ発生以降、北朝鮮で開催される初の大型国際スポーツイベントとなり、国境を閉ざして以来、初めて外国人選手の入国を許可することになる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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