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2024.01.13 10:30

AIユニコーン「アンソロピック」、異例の約109億円調達の内幕

Getty Images

OpenAIは、昨年末に1000億ドル以上の評価額での資金調達を協議していると報じられたが、同社の競合であるAnthropic(アンソロピック)は、前回ラウンドの4倍近くとなる184億ドルの評価額で、7億5000万ドル(約109億円)を調達しようとしている。
 
現在進行中のこの異例のラウンドを率いるメンローベンチャーズは、特別目的事業体(SPV)と呼ばれるスキームを使って投資を行うとされる。複数の情報筋によると、このラウンドを持ちかけたのは、AI分野をリードするユニコーンであるアンソロピックのポジションを倍増させようとするメンローの側だったという。
 
メンローは1月9日、規制当局への提出書類で「メンロー・インフレクションAIパートナーズ」と呼ばれるSPVを公開し、このラウンドで5億ドルを調達する予定だと述べた。残りの2億5000万ドルは、メンローの自社のファンドとインサイダーからもたらされると関係筋は語った。また、アンソロピックの取締役会に唯一の議席を持つスパーク・キャピタルを含む投資家の比例配分も含まれる見通しという。
 
アンソロピックは、このラウンドに関する質問へのコメントを拒否した。メンローとスパーク・キャピタルもコメントを拒否している。ニュースサイトThe Informationは以前、このラウンドの実施について報じ、SemaforはSPVの活用について伝えていた。
 
メンローは以前からAIを重点分野としていたが、ベンチャーキャピタル(VC)は通常、ファンドの10%や15%以上を1社に投資することはできない。メンローの直近のファンド規模が昨年11月に開示した13億5000万ドルだったことを考えると、同社が単独で7億5000万ドルを投資することはできなかっただろう。
 
しかし、SPVのスキームを利用することで、彼らは望むだけの投資を行い、その機会を自社のリミテッド・パートナーやその他の提携企業に与えることができる。
 
アンソロピックのラウンドを知るある投資家は、新興企業が大規模な資金調達を行う場合に、SPVの重要性が高まってきていると主張した。「ほとんどの投資家は、そんなに大きな小切手を切れない。以前はソフトバンクがあったかもしれないが、彼らは退場してしまった」と彼は述べた。
 
アンソロピックは当初、2024年末まで新規の調達を考えていなかったが、このラウンドの最も直接的なメリットは即座にキャッシュが得られることだ。同社は、12月の時点で約300人を雇用していたが、人員を約20%増やそうとしており、エンジニアリング部門の9人、研究部門の10人を含む60人弱の募集をウェブサイトで行っている。2人の情報筋によると、アンソロピックの売上見通しは、ここ数カ月で急速に高まっているが、その収益の多くは未実現のままという。
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編集=上田裕資

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