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2024.01.17

共創は「違い」を受け入れ、和えることからはじまる

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共創──まちづくりに取り組んでいると、この言葉が度々聞こえてきます。共創ってそもそもなんなん?と思う方もいらっしゃると思うので、調べてみました。

2004年、米ミシガン大学ビジネススクール教授、C.K.プラハラードとベンカト・ラマスワミが、共著『The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers(邦訳:価値共創の未来へ-顧客と企業のCo-Creation)』で提起した概念と言われています。

筆者のもとに、「共創コミュニティの作り方を教えてください」「今まで八尾で活動してきた共創プロジェクトについてご講演してください」などなどの依頼もたくさん飛び込んできます。

しかし、みんな答えがあると信じて依頼してくれているのだと思いますが、そんな明確な答えがあるはずもなく、その共創を起こしたい地域や団体がそれぞれ、答えを導いていかなければなりません。

なぜなら、共創は、何を目的として行う活動なのかによって大きくアプローチが異なるからです。また経済産業省近畿経済産業局は「価値共創」を「社会に変化をもたらす新しい価値を共に生み出す活動。そのために、画一的でない価値観を有する多様なステークホルダーと、共有された大きな目的のもと、創造的対話を継続的に実施する」(※1)と定義づけており、地域において対話を続けていくしかないのです。

※1【参照】令和3年度企業による価値共創事業の実態調査

「まちの変化の起点になる!」と豪語して活動している私は、地域を越えて共創のために、あらゆるステークホルダーと対話=セッションしていくことが必要不可欠であり、そのセッションの中で生まれた共感により新たなプロジェクトを創発させることで共創が生まれ、まちづくりにつながっています。

このときによくあるのが、先に何かをやろうと決めてしまうとうまく行かないので、共通点や興味関心ごとの守備範囲などを探ってまずはセッション。何か最初から目的を持ってやると、その目的の達成のために盲目になりすぎて相手と重なり合う部分が小さくなってしまう。

その結果、他にも関わりしろがありそうな相手でもうまく行かなくなってしまうことがあります。

セッションに必要なのは自己開示

図でお伝えすると、共通点はベン図のAとBが重なる部分、また重なっていない部分は興味関心ごとの守備範囲の違いです。この重なる部分を探るためにとにかくセッションしながら課題や、やりたいことの共通目標を探っていく行為こそがまさに共創活動そのものです。

このときに大切にしているのは、自己開示。課題、やりたいこと、想いなどの感情的な部分もひっくるめて色々と本音を話せる心理的安心性と、組織と組織、会社と会社など立場を対等な関係だと感じるような環境をつくれるかどうかが重要だと感じています。
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文=松尾泰貴

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