しかし、ワターズはそれだけで終わらなかった。FOXニュースの司会者の彼は、元FBI捜査官のスチュアート・カプランを番組に登場させて、スウィフトがどのように若者をバイデン大統領に投票するよう洗脳するかという不気味な仮説の数々を詳しく説明した。
Right now, Fox is suggesting that Taylor Swift is a psyop because she posted a link to register voters. pic.twitter.com/liR06Qiq2C
— Acyn (@Acyn) January 10, 2024
イーロン・マスクも陰謀論を拡散
昨年末にタイム誌がスウィフトを「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に選んで以降、2024年の大統領選挙に向けてスウィフトがいかに「武器化」できるかといった見方が高まった。「テイラー・スウィフトは、彼女のために毒入りクールエイドを飲むようなカルト的ファンを従えている。メディアはそれを知っていて、餌を与えている」とEnd Wokenessと名乗るX(旧ツイッター)のアカウントは約1カ月前にツイートした。
「音楽やエンタメ、スポーツ分野に続いて彼らはスウィフトをパーソン・オブ・ザ・イヤーに選んだ。次のステップは政治だ。バイデン政権が2024年に間に合うように彼女を兵器化する計画を持っていないと思うなら、それはあなたがこの問題に注意を払っていないからだ」と同アカウントは述べている。
Woke(ウォーク)と呼ばれる社会的正義を重視するエリート主義からの脱却を呼びかけるEnd Wokenessの主張は、陰謀論者の戯言と見られているかもしれないが、Xのオーナーであるイーロン・マスクでさえも、このアカウントの投稿を盛んに拡散している。こうして、ネット上の奇妙な陰謀論の多くが広く知られるものとなり、最終的にはFOXニュースのような主流チャンネルに載ることになるのだ。
仮に政府が大物セレブを用いて心理作戦を実行するとしたら、その作戦の内容をわざわざYouTubeの動画で公開するようなことはあり得ないだろう。しかし、そのような明白な事実も、陰謀論者を黙らせることはできなかった。
ジェシー・ワターズは、FOXニュースをアレックス・ジョーンズと陰謀論に取り憑かれた狂信的陰謀論メディア帝国であるInfoWars(インフォウォーズ)に対抗するメディアに作り替えようとしているようだ。
(forbes.com 原文)