北米

2024.01.11 13:00

本当に苦痛なし? 全米初の「窒素ガス死刑」、差し止め請求棄却

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米連邦地裁判事は10日、アラバマ州が今月、窒素ガスを用いて受刑者の死刑を執行することを認める判断を示した。実施されれば窒素ガスによる死刑執行は全米初になる見通し。死刑囚の苦痛がない方法とされるが、国連などは批判している

受刑者は、1988年の嘱託殺人事件で殺人罪に問われ、死刑判決を受けたケネス・ユージン・スミス死刑囚(58)。2022年11月、薬物注射による死刑が執行されたが失敗に終わり、アラバマ州はその後、窒素ガスによる死刑の再執行を発表していた。

これに対し、スミスの弁護団は死刑の再執行はどのような方法であっても憲法違反だと主張。窒素ガスによる死刑執行にも反対し、差し止めを求めて提訴していた。

アラバマ州中部地区連邦地裁のR・オースティン・ハフェカー判事は差し止め請求を棄却した。死刑再執行は1月25日に予定されているが、AP通信によるとスミス側は上訴する方向だという。

窒素ガスを用いる死刑執行方法は「窒素低酸素法」と呼ばれ、受刑者に純粋な窒素ガスを吸引させて酸素を奪う。理論的には苦痛がない方法とされるが、窒素の濃度やその他の要因によって何らかの問題が生じる可能性もある。

国連の専門家は、この死刑執行方法は検証されておらず、スミスに「苦痛をともなう屈辱的な死」を強いるおそれがあるとして停止を求めている。

アラバマ州は2018年に、窒素ガスによる死刑執行を認めた米国で3番目の州になった。それに先立って認めたオクラホマ州とミシシッピ州は、これまでこの方法での死刑執行を控えている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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