北米

2024.01.11

中国のオピオイド販売サイト、米国の麻薬ディーラー相手に通販詐欺か

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米国と中国の当局は過去3年間、オピオイド系鎮痛薬やその原材料を販売する「上海ケミカルズ」と呼ばれるウェブサイトを監視してきた。中国を拠点としているとみられる同サイトは、「製薬と実験目的」向けのみの販売をうたっている。だが米当局は、同サイトが実際には、フェンタニルなどの麻薬の製造に使われる違法物質を米国内の業者向けに販売していることを突き止めた。

先月公開された令状によれば、米麻薬取締局は、このサイトが詐欺であり、米国の麻薬ディーラーを騙していた可能性があるとも考えている。令状では、ある情報筋が上海ケミカルズから130gのフェンタニルを購入しようとした経緯が詳述されている。当初、米国の銀行口座に約2500ドルを支払い、その後ビットコインで支払いを行なった。しかし、令状によると、2年以上たった今でも麻薬は届いておらず、DEAは「違法な麻薬の販売の可能性に加え、このウェブサイトは詐欺行為に関与している可能性がある」と結論づけた。

米司法省はこの件に関するコメントを拒否した。フォーブスは、上海ケミカルズの連絡先Eメールアドレスにコメントを求めたが、返答はなかった。

米麻薬取締局が上海ケミカルズが使用した暗号資産のアカウントを調査した結果、2021年に合計350万ドル相当の暗号資産が、同サイトのマネーロンダリング(資金洗浄)活動への関与が疑われるバイナンスの口座に送られており、そのほぼすべてが同サイトの売り上げに由来する可能性が高いことが分かった。これらの暗号資産は、ステーブルコインのテザーに変換され、他の口座に移されたという。

また、同サイトに関連する他の8つのアカウントも、かなりの量の暗号資産を扱っていた。2017年12月から2022年1月までの間に、これらのアカウントは4億5000万ドル以上の取引を行っていた。米当局はこれまでに、これらの口座に残っていた約21万ドルの資産を押収している。

上海ケミカルズにひもづくアカウントに送金された暗号資産の額を考慮すると、同サイトがこの分野の大手だったことが見て取れる。調査会社Ellipticは昨年5月、フェンタニルやその原材料を出荷する90社の中国企業が、合計2700万ドルの売上を暗号資産で得ていたとの調査結果を明らかにした。この金額は、末端価格が540億ドル相当のフェンタニル錠剤を製造するために必要な原材料を入手するのに十分な額という。

フェンタニルの供給源は中国

米司法省は、中国から米国とメキシコへのフェンタニルの流入を食い止めようとしている。昨年10月、同様の中国製オピオイド販売サイトを起訴した際に、メキシコで最も悪名高い2つのカルテルがフェンタニルを加工して米国で販売する前に、中国から大量の原材料を購入していたことを指摘した。

「フェンタニルの世界的なサプライチェーンは、多くの場合、中国の化学会社から始まることがわかっている」とメリック・ガーランド司法長官は当時述べていた。その1カ月後、中国政府と米国は、中国からの米国へのフェンタニルの流入を食い止めるための取引に合意した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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