ドングリを育てて森に返す森林保全観葉植物「戻り苗」

プレスリリースより

和歌山県を拠点とする林業ベンチャー、ソマノベースは、ドングリから苗木を育て、2年後に森に植える「戻り苗」という製品を販売しているが、このたび北海道にも拠点を広げ、産官連携による森林づくりの実証実験を行うことになった。

美しいヒノキ製の鉢とドングリがセットになった「戻り苗」を購入し、2年間育てたら森に植えてもらえる。2年間は観葉植物として楽しむことができ、その後は約20年間、森林の一員としての成長を見守ることができる。途中で枯れてしまっても、新しいドングリがもらえる。またLINEで栽培に関する相談にものってくれる。

これを考案したのは、ソマノベースの創業者で代表取締役の奥川季花氏。水害で親しい知人を亡くすなどの経験から森林の保全に関心を持ち、「土砂災害による人的被害をゼロにする」というビジョンのもとに事業を立ち上げた。林業は人手不足や予算不足のために、植林が伐採に追いつかない状態に陥っているという。森林が荒れると山の保水力が失われて土砂崩れや洪水が起きやすくなる。同社は「林業界や森林との関係人口を増やす」ためのイベントや商品開発を行っているが、森から離れた都市に暮らす人でも森林保全活動に参加できる「戻り苗」は、その理念を形にした画期的で象徴的な製品だ。

「戻り苗」はソマノベースのオンラインストアで購入できる。基本セットは1万2100円(税込)。これには、ウバメガシまたはカシのドングリが5つ。ヒノキの鉢、育苗用コンテナ、土などが入っている。法人向けには、苗木24本と木製シェルフなどがセットになった1年間育成用のセットを40万円(税込)で販売している。

北海道では、北海道庁の「ほっかいどう企業の森林づくり』の一環として実証実験が行われる。北海道庁のほか、北海道コカ・コーラボトリング、JT北海道⽀社、エスビー⾷品、北海道電⼒、札幌テレビ放送、北海道アルバイト情報社が参加し、北海道の植生に合った苗木を、道産トドマツで作ったシェルフで育てることになっている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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