誇りある働きかた、生きかたを目指して
最後に、高賃金化に対する私からみなさんへのメッセージをお伝えさせてください。私が目指しているのは、「働きやすさ」と「働きがい」の両方が追求・実現された世界です。毎日、毎時間、すべての働く時間が誰かのためになっていることが、最も重要な価値観として大切にされる社会です。今以上にもっと誰かの役に立つ、もっと誰かの困りごとを解決する。それができていくと、自分自身に対して「かっこいい働きかた、生きかたをしているな」と誇りを持てるようになるはずです。
そんな考えかた、仕組みが社会全体に広がっていき、私たちの子ども世代も、将来そんな社会の中で働けるようになれば、「お父さん、お母さんたちが、頑張ってこんな社会をつくってくれたお陰だ」と、私たちを誇りに思ってくれるのではないでしょうか。
そんな社会を実現するためには、世の中の大きな仕組みを変える必要はありません。いくつかの「キーとなる仕組み」を変えることと、一人ひとりが「今日も一日、誰かの役に立とう!」という意思を持ち、そんな働きかたを実践していくことで、社会全体が、そして未来が変わっていくはずです。
1人が変われば、周りの人が変わります。周りの人が変われば、チーム全体、部署全体が変わります。チームや部署が変われば、会社が変わります。一つの会社が変わったら、グループ会社全体が変わり、やがてもっと大きなグループも変わっていきます。最初は小川のような流れかもしれませんが、それがいつか大河となって大きな流れを生み出せるのです。
※「Forbes JAPAN 2024年2月号」では、初任給710万円の実施に踏み切ったGMOインターネットグループの西山裕之副社長と田尻望氏の「実施に向けた方法」を対談で掲載(70ページ〜)しています。
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