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2024.01.10

大谷翔平の超大型契約が税制を変える? 米当局が後払い金額の上限設定を議会に要請

Getty Images

カリフォルニア州会計監査官マリア・コーエンは、史上最高額となった大谷翔平選手の10年、7億ドル(約1015億円)の契約において6億8000万ドルが2034年以降に支払われることについて、報酬の後払いに上限を設けるよう連邦議会に求めた。報酬を受け取る前に大谷が州外へ転居した場合、所得税の支払いを免れることができると、コーエンは指摘している。

昨年12月にスポーツ界史上最高額の契約を結んだ大谷は、契約期間中には年間200万ドルのみを受け取り、2034年からの10年間に計6億8000万ドルをドジャースから受け取る。大谷は10年契約終了時まで6億8000万ドルの支払いを繰り延べ、その後「日本に帰り、後払い分のカリフォルニア州税の支払いを回避する可能性がある」とコーエンはいう。

もし大谷が後払い分の報酬を受け取る期間にカリフォルニア在住でなくなった場合、州の最高税率である13.4%の所得税と傷害保険のための給与税1.1%の支払いを回避する可能性があるとNBC Newsが報じている。

また、カリフォルニア州の非営利団体Center For Jobs & The Economyも、大谷は報酬を後払いにすることによって州所得税9800万ドルを節約する可能性があると報告している。

コーエンは、現行の税制は税率区分の高い納税者が無制限の後払いを利用することを許しており、後払い額の上限が決められていないことで「所得の不平等を悪化させ税負担の公平な分配を妨げている」と苦言を呈した。

繰延税金とは、毎年支払う代わりに、将来支払う税金のことだ。富裕層への課税は、民主党の優先事項だが、議会は繰延税金にはあまり関心を示さず、含み益と投資の伸びに焦点を合わせてきたとシンクタンクTax Foundationの連邦税務政策担当副社長、ウィリアム・マクブライドが引用したNBC Newsは伝えている。

大谷は野球史上最高の選手の1人であるとされ、2018年に米MLBのロサンゼルス・エンゼルスに年俸4230万ドルで入団した。大谷は二刀流の選手として打者、投手の両方で記録破りの成績を残す近代野球では類を見ない逸材だ。昨シーズンは打者として40本塁打以上、投手として10勝以上を記録した初のMLB選手となり、度重なる怪我にも関わらず、2度目のアメリカンリーグ最優秀選手(MVP)に輝いた。大谷のユニホームはMLBでも最も人気高いもの1つであり、昨シーズンの広告契約は約4000万ドル(約58億円)に上るという。

大谷の7億ドルの契約は、米NFLのカンザスシティ・チーフスのパトリック・マホームズ(4億5000万ドル)やMLBロサンゼルス・エンゼルスの外野手マイク・トラウト(4億2600万ドル)、ドジャースの外野者ムーキー・ベッツ(3億6500万ドル)らを超える巨額の契約となる。ポルトガルのスターサッカー選手、クリスティアーノ・ロナウドが大谷に次ぐ世界で2番目に稼ぐアスリートであり、サウジアラビアのプロサッカーチーム、アル・ナスルFCと5億3600万ドルの契約を結んでいる。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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