現在、米ラスベガスで開催中のテクノロジー見本市「CES 2024」において、ホンダは新たなEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」への道筋を示す斬新なデザインのコンセプトモデル2台と、次世代EV向けとなる新しい「Hマーク」のエンブレムを発表した。
「SALOON(サルーン)」と「SPACE-HUB(スペースハブ)」と名づけられたこれらのコンセプトカーは、22世紀に「アコード」や「オデッセイ」が登場したらどうなるかというような姿をしている。
前者はセダン、後者はミニバンのようなクルマではあるものの、どちらも滑らかなワンボックス形状のデザインで、いかにも空気抵抗が小さそうに見える。
SALOONのフロントは、細長いLEDライトが3列に並んだヘッドライトと、バックライトで照らされた新しいHマークをLEDで取り囲む長方形の開口部が特徴的だ。この新しいエンブレムは、0シリーズを含むホンダの次世代EVに採用されるという。
全体の外観は、昔のブラック・アンド・デッカー製のハンディ掃除機「ダスターバスター」を彷彿させ、まるで道路を滑走しながら大気中の炭素を吸い取るつもりなのではないかと思えるほどだ。
リアエンドにも、同じ長方形の凹型デザインが反復されているが、周囲を囲むLEDライトは白ではなく赤色になっており、ボディ下部が後方に向かって上向きに傾斜している。
もう1台のSPACE-HUBは、SALOONと同じデザインテーマを、背の高いミニバン風の車体に応用したものだ。2列目と3列目のシートは、ドアの内張りと一体になってキャビンを取り囲むように配置されており、乗員は向かい合って座るようになっている。
「私たちが夢見るモビリティは、『厚い、重い、けれどスマートなEV』という潮流の延長線上にはありません」と、本田技研工業の三部敏宏 代表執行役社長は語る。「私たちは『薄い、軽い、賢い』をホンダ0シリーズの基盤にして、ゼロからまったく新しい価値を創造し、操る歓び、そして自由な移動の喜びを、さらなる高みへと進化させていきます」
この三部のコメントは、まるでこれらの新しいデザインが、GMブランドのクルマと親戚のような、確かに厚くて重いプロローグやZDXに対する直接的な反発であるかのように思わせる。ホンダとGMが、より小型で低価格のEVの新たなラインナップを共同開発する計画を断念した理由も、このあたりにあるのかもしれない。ホンダはおそらく、この協業からは自分たちが望むものを得ることはできないと感じたのだろう。