0シリーズには「Honda SENSING Elite(ホンダ・センシング・エリート)」の技術をベースとした先進運転支援システムが搭載される。2021年に日本で限定台数が生産されたセダン「レジェンド」に搭載されたHonda SENSING Eliteは、自動運転レベル3:条件付(限定領域)自動運転を実現し、国土交通省より自動運行装置として型式指定された。高速道路渋滞時など一定の条件下のみではあるが、ドライバーはハンズオフ/アイオフ、つまりハンドルから手を離し、前方から目も離して、運転を完全に機械に任せることが可能だ。
さらにホンダによると、2020年代後半には、この技術をより多くの環境に拡大し、高速道路だけでなく一部の市街地でも使用可能な自動運転システムを採用することで、より多くの人の手が届く自動運転車として展開していく計画だという。
現在、多くの自動車メーカーが試みているように、クルマが個人の好みや運転中の行動傾向を学習することを目指し、ホンダも当然ながら0シリーズ用に独自のソフトウェア・プラットフォームを開発している。ドライバーの行動や車両データ、その他のリアルタイムデータを参照し、ユーザー体験を向上させるために、さまざまな提案を行うAI機能が組み込まれる予定だ。実際にどの程度、ユーザー体験を向上させることができるかは、ホンダに限らず、このようなシステムのすべてにおいて未知数ではあるものの、あらゆる自動車メーカーが他社と差をつけるために何らかの方法を模索している。
ホンダは常に効率性を重視する自動車メーカーであり、0シリーズも例外ではない。ラインナップには、モーター、減速機、インバーターがすべて車軸に統合された「e-Axle(イーアクスル)」と呼ばれるレイアウトを採用する。ホンダはまた、バッテリーのエネルギー密度を最大化し、充分な航続距離を確保しながらサイズと重量を最小化することにも取り組んでいる。実際の詳細は明らかにされていないが、ホンダはLGエナジーソリューションとバッテリーの生産合弁会社を設立し、米国オハイオ州に工場を建設中だ。
さらに、バッテリーを長年使用しても安心して乗り続けることができるようにするために、ホンダは使用開始から10年後のバッテリー劣化率を10%以下に抑えることを目標に取り組んでいる。2020年代後半に投入される0シリーズでは、15~80%の急速充電を10~15分程度に短縮することも目指している。
ホンダはこれまで、ハイブリッド車や燃料電池に注力してきたため、EVの開発を先導する立場ではなかった。だが、今回発表された2つのコンセプトモデルを判断材料とするならば、ホンダもついに、この市場に真剣に取り組むようになったのかもしれない。
(forbes.com 原文)