AI

2024.01.09 10:30

フォルクスワーゲン、「ChatGPT」を車載音声アシスタントに統合

2024年の第2四半期以降、フォルクスワーゲンの最新モデルでは順次、車載インフォテインメントシステムに採用されている音声認識システム「Cerence Chat Pro(セレンス・チャット・プロ)」にChatGPTが統合され、乗員の音声リクエストの解析を支援し、インフォテインメント、ナビゲーション、空調など、さまざまな車内機能の制御を可能にする。搭載が予定されているモデルは、フォルクスワーゲンによれば「IDA音声アシスタントを搭載したフォルクスワーゲンの全モデル」、すなわち電気自動車の「ID3」「ID4」「ID5」「ID7」と「ティグアン」「パサート」および「ゴルフ」の新型ということになる。

フォルクスワーゲンとセレンスは、車内機能の制御に加えて「一般的な知識の質問に答える」機能も組み込んでいるとのことで、これは興味深いものになるはずだ。

新型電気自動車フォルクスワーゲン ID.7の欧州仕様は、2024年春にChatGPTを統合した新しいIDA音声アシスタントを搭載する最初の車両となる

新型電気自動車フォルクスワーゲン ID.7の欧州仕様は、2024年春にChatGPTを統合した新しいIDA音声アシスタントを搭載する最初の車両となる (Volkswagen)

LLMが抱える問題の1つは、単語や成句が実際に何を意味するのかを、根本的に理解していないことである。LLMは統計的な確率アルゴリズムであり、人間の言葉らしく聞こえる単語の並びを単にグループ化したものに過ぎない。それらは概して、文法的には正しいが、事実に基づく正しさを明確に要求するルールがないため、筋が通っているように聞こえるが実は意味をなさない話をでっち上げる傾向がある。

ChatGPTを車内で作動させる際に、その応答の正確性を確保するため、セレンスとVWが何をしているのか、現時点では不明だ。それがなければ、実際に存在する住所を検索したり、エアコンを乗員が希望する温度に調整したりする機能が、うまく働かないこともあり得る。
アップデートを受けた欧州仕様のゴルフは、ChatGPTを統合した新しいIDA音声アシスタントを搭載する。(Volkswagen)

アップデートを受けた欧州仕様のゴルフは、ChatGPTを統合した新しいIDA音声アシスタントを搭載(Volkswagen)

少なくともフォルクスワーゲンは、質問と回答を即座に削除することで、ユーザーのプライバシーを守るための対策は取っているようだ。乗員の発した質問がクラウドを通じてChatGPTに送信されると、それらも匿名化される。ChatGPTが車両データにアクセスすることも一切ない。

ChatGPT対応の音声アシスタントは、2024年第2四半期から、まずは欧州で販売される新車のみに搭載される予定だ。それ以外の地域でも提供するかどうかは、まだ評価中だという。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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