2. 以前ほど情緒的に応答しなくなる
パートナーに対して情緒的に応答するには、自分自身に対して情緒的に応答する能力も必要だ。ワーク・ルミネーションは、この情緒的応答性に影響を与える。仕事について過度に考え込むと、苛立ちが増し、不満や不安、疲れを覚え、ひいては幸福感や情緒的に応答する能力が低下してしまう。
研究によれば、仕事に関して頭を使いすぎていると、私生活への関わりが妨げられ、パートナーに対する心づかいが減る。それが原因となって、2人の関係がぎくしゃくしたり、相手に怒りを感じたり、ときには相手を避けるようになる。
情緒的な応答が不足すると、心が離れていくほか、パートナーの「応答性知覚」が低下する。応答性知覚とは、パートナーが自分をどのくらい思いやり、認め、支えてくれているかを認識することであり、2人の関係に満足感を抱く上で不可欠な要素だ。
情緒的応答性が低下すると、パートナーに共感して支えたいという思いが弱くなり、相手のニーズや要望にうまく対応できなくなる。仕事に関連した話題を続けてしまうと、相手は自分の感情や経験を分かち合う機会を失い、さまざまな感情(喜び、悲しみ、恐怖、大きな望みなど)をあまり感じられなくなってしまう。しかしそうした感情は、特別かつ親密なつながりを構築するのに役に立つものなのだ。
ワーク・ルミネーションから抜け出し、関係を維持するために
それでは、ワーク・ルミネーションの影響を受けないようにするための方法をいくつか説明しよう。・セルフケアを優先させる。仕事のストレスとうまくつき合うことは、ワーク・ルミネーションを防ぐ上での基本だ。仕事がなぜ自分の心のスペースを過度に占領してしまうのか、気持ちをもっとラクにするためには何をどう改善したらいいのか、振り返ってみよう。喜びや癒しを得られることをして、自分をいたわることを優先しよう。
・率直なコミュニケーションを心がける。ワーク・ルミネーションが相手との関係にどんな影響を及ぼしているのか、パートナーに打ち明けよう。互いを支え合うためにできることは何か、頻繁に確認しよう。協力し合って、話題が広がるよう努めよう。
・境界線を引く。仕事と私生活のあいだに明確な一線を引くことは、何よりも重要だ。仕事や仕事関連の問題を話すための時間を設定しよう。そしてパートナーと関係が構築できる充実した時間をつくり、そこでは仕事の話はもち出さないようにする。プライベートな時間が減ってしまうほど仕事にのめり込むことのないよう気をつけよう。
・つながりのためのルーティンを作る。2人の関係を維持するためのルーティンや習慣を持つようにしよう。週に一度は夜のデートに出かけたり、一緒に夕食をつくったりしてもいいだろう。また、仕事のあとに少し時間をとって、自分自身とのつながりを取り戻すことで、過去や将来にとらわれず、現在をもっと感じられるようにしよう。
まとめ
職場を離れた後も仕事のことが絶えず頭にあるようでは、2人だけで過ごす親密なひとときでも、パートナーに心から向き合うことができなくなり、ひいては、2人の関係性の質と満足度に悪影響が及んでしまう。ワーク・ルミネーションの兆候を見逃さず、仕事と私生活のあいだに一線を引けるよう事前に対策を講じることは、パートナーとの関係を維持し育む上で不可欠なのだ。(forbes.com 原文)