欧州

2024.01.09

バルセロナ、「大麻社交クラブ」閉鎖の可能性

スペイン・バルセロナの大麻社交クラブ(Getty Images)

スペイン第2の都市バルセロナは今後、大麻愛好家にとって目指すべき行き先ではなくなるかもしれない。バルセロナ市議会が大麻社交クラブの規制の強化に乗り出したからだ。

スペインでは大麻の使用は違法だが、大麻社交クラブという形態によって、違法な市場で取引するのではなく、合法的に大麻を消費する方法を求める国内外の人々を長年にわたって引き寄せてきた。ところが、スペイン紙エルディアリオによると、バルセロナ市議会は現在、大麻社交クラブを閉鎖する方法を模索しているという。市議会は最近、バルセロナ市警察とともに市内約20カ所の大麻社交クラブを対象に査察を開始した。これは長年にわたる寛容な政策からの転換を示すものと言えよう。

報道によると、先月22日に開かれた市議会本会議で、大麻反対派として知られるアルベルト・バティエ治安担当副市長が大麻協会を「排除」する決意を表明した。副市長は、大麻社交クラブを閉鎖する可能性も含めて査察を強化しているとしながらも、完全に根絶することは難しいとの認識を示し、目標を達成するためには法律の改正が必要になるかもしれないと示唆した。

複数の大麻クラブ経営者が同紙に語ったところによると、これまでの査察では主に施設の技術的側面に焦点が当てられていたが、今回の査察は施設内で大麻使用が許可または奨励されているかどうかを判断するものだという。

バルセロナの大麻社交クラブが閉鎖の危機にさらされるのは、今回が初めてではない。市当局は2014年以降、こうした施設を閉鎖しようとしてきた。だが、経営者は大麻社交クラブの営業に関する「緑のバラ」と呼ばれる法律の下で営業を再開した。ところがスペインの最高裁判所は2021年、この法律を撤回した。これにより、バルセロナ市内にある大麻社交クラブに対する法的保護は撤廃されたが、経営者は「市営」大麻クラブの営業許可から、より広範な「私営」クラブの営業許可に移行するという法律の抜け穴を利用して営業を続けてきた。
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翻訳・編集=安藤清香

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