アジア

2024.01.08 11:00

北朝鮮の「有力な後継者」は金正恩の娘 韓国情報機関が分析

2023年11月23日、軍事偵察衛星の打ち上げを祝う宴会に、娘のジュエ(左)と出席した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(Getty Images)

2023年11月23日、軍事偵察衛星の打ち上げを祝う宴会に、娘のジュエ(左)と出席した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(Getty Images)

韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は4日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の娘キム・ジュエが後継者として有力だとの見方を示した。だが、娘についてはほとんど知られておらず、昨年何度か公の場に姿を現して以降、指導者になる可能性を巡って憶測が飛び交っている。
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米紙ニューヨーク・タイムズは、ジュエは昨年、軍事パレードを含む複数の公式行事に父親とともに出席し、最近では平壌で開かれた元日の祝賀行事に姿を現したと報じた。北朝鮮の国営メディアによると、ジュエは2022年11月、平壌国際空港で行われたミサイル発射実験中に母親の李雪主とともに姿を見せるまで、公の場に現れたことはなかった。同国の報道では、ジュエは金総書記の「最愛の」「尊敬すべき」子どもだと紹介されている。

韓国の政府高官は先月、ジュエが金総書記の後継者に指名される可能性は「高い」とし、特に初めて公の場に姿を現してからは「より真剣に」受け止められていると明かしていた。韓国の金暎浩統一相も「これほど早い段階で公の場に立たされている」ことから、ジュエが北朝鮮の指導者になる可能性を「排除できない」とみている。

韓国国情院は、公式行事で存在感を強めつつあることや、受けている尊敬の度合い、世間の受け入れ方などを鑑みると、ジュエが金総書記の「後継者として最も有力」だとの分析結果を公表。他方で、金総書記は「まだ若く、重大な健康問題もない」ため「数多くの変数」が存在すると指摘した。国情院は以前、北朝鮮が家父長制を重んじていることから、ジュエが金総書記の後継者に指名されることはないだろうとの見解を示していた。
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金総書記の娘の存在が初めて公になったのは2013年、米国の元プロバスケットボール選手デニス・ロッドマンが平壌を訪問した際、同総書記の「赤ん坊」である娘を抱き、名前がジュエであることを偶然明かしたことがきっかけだった。韓国に拠点を置く世宗研究所のアナリスト、チョン・ソンチャンが米AP通信に語ったところによると、ジュエには性別も年齢も公表されていない弟か妹がいるという。

北朝鮮は1999年から選挙を実施しているが、国の指導者は地方選挙ではなく、議会選挙を通して選ばれる。金一族は1948年の建国時に金正恩の祖父である金日成が初代最高指導者の地位を確立して以降、北朝鮮を統治している。北朝鮮関連の情報を提供するNKニュースのアナリスト、ジェームズ・フレトウェルは英BBCに、北朝鮮は「男性優位」で「金一族が支配」する社会であることから、一族以外の人物が指導者に指名されるようなことがあれば「驚くべきこと」だと語った。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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