問題は前日にオレゴン州ポートランドからカリフォルニアに向かっていた便で発生。映像では機体側面に大きな穴が開いている。
世界でおよそ171機の同機種がFAAの緊急点検命令の対象となるが、米国で同機種を運用しているのはユナイテッド航空とアラスカ航空のみ。アラスカ航空はすでに同機種65機の運航を自主的に停止していた。
問題が発生したのは同航空1282便で、乗客171名と乗組員6名を乗せてポートランドからカリフォルニア州オンタリオに向かっていたとき、FAAが「与圧の問題」とする事態が発生。現地時間5日午後5時ごろにポートランドに引き返し、無事緊急着陸した。
同機に搭乗していた人がソーシャルメディアに投稿した動画では、空中で機体の一部が吹き飛び、壁に大きな穴が開いて客室が外部にさらされる中、乗客が酸素マスクを着用する様子が映っているように見える。
FAAのマイケル・ウィテカー長官は6日の声明で「すべての意思決定は引き続き安全性に依拠する」と述べ、今回の事故に関して、米国家運輸安全委員会(NTSB)の調査への協力を約束した。
アラスカ航空は、製造元のボーイングおよび規制当局とともに事故を調査中であり、NTSBの調査にも協力するとしている。
ボーイングはフォーブスへの声明で、FAAの決定に同意し全面的に支持すると説明。また、NTSBの調査を支援する技術チームの準備ができているという。「安全は当社の最優先事項であり、今回の事故が当社の顧客ならびに搭乗者に及ぼした影響について深くお詫び申し上げる」と謝罪し、規制当局やアラスカ航空と緊密に連絡を取り続けるとも述べた。
ボーイングのベン・ミニクッチ最高経営責任者(CEO)は声明で事故について詫び、パイロットと客室乗務員の対応に謝意を示した。
FAAによると、今回の事故の前に、ボーイングは同機種の一部を運航する全航空会社に対し「ラダーコントロールシステムのボルトが緩んでいる可能性があるため、点検するよう」呼び掛けていた。CNNは、今回の事故はボーイングが点検をうながした問題とは無関係である可能性が高いが、同社の製造における品質管理に疑問を投げかけていると報じた。2019年には1年足らずの間に2機の「737Max-8」が死亡事故を起こし、同社の安全プロセスに厳しい目が向けられるようになった。
ブルームバーグが関係者の話として伝えたところによると、FAAの命令に先立ち、ユナイテッド航空もアラスカ航空の事故を受けて同機種の一部の運航を自主的に取りやめた。
(forbes.com 原文)