欧州

2024.01.07 12:00

ロシア軍、北朝鮮製ミサイルでウクライナの兵站基地爆破 対応難しく

Shutterstock.com

ウクライナはKN-23の発射機を攻撃目標にできるかもしれないが、攻撃の手段が問題になる。ウクライナ国産のトーチカU弾道ミサイルの射程は120kmほどにとどまる。ウクライナは英国とフランスから空中発射型の巡航ミサイル、米国から地上発射型のミサイルを供与されているものの、これらについてはロシア国内の攻撃に使わないことを支援国側に保証している。
advertisement

ウクライナは長距離攻撃用のドローン(無人機)を製造しているほか、古いS-200地対空ミサイルシステムを射程480kmの地対空兵器に改造してもいる。しかし、いずれも地上のKN-23ミサイルシステムを破壊できるほどの迅速さと精度で攻撃できるのかは不明だ。

そもそも、KN-23の発射機を直接狙うとすれば、ウクライナ側はミサイルの発射前、あるいは発射後十分早い時点で探知する必要があるが、それができるのかどうかすらわからない。

ウクライナは占領下のクリミアなど国内のロシア軍の後方地域への攻撃を強めることで、非対称的に対抗することもできるかもしれない。しかし、やはりその手段が問題になる。ウクライナが自国で生産している遠距離攻撃用の弾薬は月に数えるほどだ。残りの弾薬ニーズは支援国に頼っている。だが、支援国は当てにできない。
advertisement

最悪なのは米国だ。米国は昨年、射程が160kmあるATACMS地対地弾道ミサイルを20発かそこらウクライナに供与したが、それ以降、ATACMSの補充を拒んでいる。

ホワイトハウスが最も強力な兵器類のウクライナへの大量供与に消極的なのは問題である。ただ、それよりもはるかに大きな問題は、米議会のロシア寄りの共和党議員らが、ホワイトハウスによる610億ドル(約8兆8000億円)規模の対ウクライナ支援予算案の採決を何カ月も拒んでいることだ。

共和党がロシアではなくウクライナを支えると決断するまで、ロシアは弾頭と合わせれば4t近くの重さになる北朝鮮ミサイルを、防御が薄くなってきているウクライナに撃ち込み続けることができる。ウクライナ側には、反撃する手段がほとんどなくなってしまうだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事