フレデリックはLVMHの時計部門の責任者として、ゼニス、ウブロ、タグ・ホイヤーをはじめとする高級時計ブランドを統括する。過去には164年の歴史を持つスイスの時計メーカー、タグ・ホイヤーでスマートウォッチ技術の導入を指揮した経験もある。
フレデリックは2017年、スマートウォッチブランド「コネクテッド」の責任者としてタグ・ホイヤーに入社し、2020年に同社の最高経営責任者(CEO)に就任。家業に加わる前は、米マッキンゼー・アンド・カンパニーや米フェイスブックの人工知能(AI)研究部門で研修をしていた。
アルノー会長とその一族の資産は1872億ドル(約27兆円)に上り、同会長は世界第2位の大富豪として名を馳せている。財産の大半は、アルノーが所有するLVMHの株式47%からもたらされている。
アルノーが高級ブランド帝国を築き始めたのは1980年代のことだ。まず、1984年に破産したフランスの高級ブランド、クリスチャン・ディオールの株式を1500万ドル(約21億7000万円)で買収。1987年には仏高級ブランドのルイ・ヴィトンと仏シャンパンメーカーのモエ・エ・シャンドン、仏コニャックメーカーのヘネシーを合併させ、高級品複合企業LVMHの設立に向けた取引を仲介した。同社はアルノーの指揮の下、急速に拡大した。ジバンシィ、セフォラ、マーク・ジェイコブス、ブルガリをはじめ、世界75社以上のブランドを買収。2017年には推定131億ドル(約1兆8900億円)でクリスチャン・ディオールを完全買収した。
アルノーの5人の子どもたちはいずれもLVMHの要職に就いている。長女のデルフィーヌ(48)はクリスチャン・ディオールのCEO。LVMHの通信部門の責任者を務める長男アントワーヌ(46)は、以前は傘下の靴メーカー、ベルルッティのCEOだった。次男アレクサンドル(31)は、2019年にLVMHが162億ドル(約2兆3400億円)という巨額の取引で買収した米有名宝石店ティファニーで執行副社長を務める。アルノーの末の息子ジャン(25)は、ルイ・ヴィトンの時計部門の責任者に就任している。
(forbes.com 原文)