例えば、習政権が2023年の最終盤に、改革プロセスの活性化と民間部門のイノベーション支援について得意げに語っていたことを考えてみよう。習は中国経済の上昇に便乗したい外国ファンドが好むようなことを語った。だがその後の習政権の行動が再び、あまりにも多くの投資家に胃が痛くなるような思いをさせることになった。
大みそかのわずか10日前、中国政府はオンラインゲームの利用制限を目的としたガイドラインの草案を発表し、市場を揺るがした。これは、中国の政策立案者が仮想経済の規制を維持しようとする最新の試みとして認識された。この動きを受け、投資家は離れていった。習と幹部らが近年のテック業界の取り締まりからほとんど何も学んでいないのではないかと危惧したからだ。
「今回の規制は、2021年の規制強化の再来のように映る。多額のゲーム収益につながる支出を極めて厳しく制限し、大手ゲーム会社の急な売りを招いたからだ」と中国専門の調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのアナリスト、アンドリュー・バトソンはいう。「しかし、問題なのは規制の詳細ではない。政府がインターネット部門を支援すると数カ月にわたって匂わせた後に積極的な介入が行われたことだ」
これは、中国が2024年に世界経済にかつてないほどのストレステストを行う可能性があるという警告だ。また、アジアにとっては不安が最も高まる年となる。
バトソンは2021年のことを指摘したが、テック業界という文脈での事の発端は2020年11月にさかのぼる。それは、中国政府が同国で最も影響力のあるテック企業の創業者、アリババ・グループのジャック・マーを追及したときだ。